ネットで賛否が話題になった、東京新聞年始の特集記事の一つ。日本の健康保険未加入の外国人に対しての治療費の話なんですが、これも見出しで先ず誤解を招く言い方をしており、さらに記事本文に関しても何故か感じな部分は曖昧模糊としており、何の問題点を指摘したいのか、記事としての主旨が不明な典型的な駄目記事(と、偉そうに言ってしまう)。
まず、この記事の見出しが、
「日本人なら生きられたはず」困窮外国人にのしかかる高額医療費 保険未加入で法外な治療費も
と書かれていて、「困窮外国人」が健康保険未加入なので通常の3割診療が受けられず全額負担となる事を問題視しているのかなという印象を受けます。その為、この記事に対しての多くのコメントが、健康保険未加入あるいは傷病保険等に入らずに日本に来て、そこで病気になって審査料を受けたのならば、全額負担するのは当然だろうという意見が多くを占めている。
ところが記事本文を読んでみると、記事で訴えていることは、保険未加入のため本来ならばそれでも10割負担で診療行為を受けられるはずが、外国人はその2倍とか3倍の診察料が請求されるために、適切な診療行為を受けられず重篤な場面に遭遇する事を問題視しているんですね。所が記事では、病院側がそれはルールだからと言っているとしか書いていないから、何故病院側が通常の診察料よりも多く請求するのか、その理由が分からない。よく聞く話は、治療を受けたもののそのまま治療費を踏み倒して帰国したり行方が分からなくなり、病院側がそのぶんの負債を抱えることになる問題。でも、そうであるならば、例えば治療費を前払いで支払うような予防措置を設けることでそれなりに対応可能だろう。あるいは、実際に治療を開始すると、当初見積よりも治療費が掛かる場合もあるから、そのぶんも予め見込んで金額が増えるが、最後に精算するから実際には「10割実費」なのかもしれない。病院側が何故実際の治療費よりも多く請求するのか、その説明が無いし、さらに記事の中では別のより負担の少ない病院で手術を受けたと書いてあるけれど、それはつもり病院事に対応が違うと言うことですよね。となれば、出来るだけ負担が少ない病院をリスト化して、そういう所と協業するというのも対応策の一つだと思うのだけれど。実際記事の中でも、アンケート調査した4380医療機関の4分の1が医療費を全額負担よりも高く設定していたと書いていますが、それは4分の3は通常の医療費で診察してくれる・診察するということなわけですから、全く手段が無い訳ではない。記事では、兎に角困っている外国人には理由不問で支援しろ、と言う事を言いたいような論調を感じるわけで、そこには逆に記者に対しての不信感みたいなものが生まれるわけです。
記事の中には治療とは別にして気になる話題も書かれているわけで、冒頭のミャンマー人の男性は、1年半前から野外生活に移ったのに在留資格は更新出来るらしい。多分支援組織などが援助しているからなんでしょうけど、それならば彼らの施設にな入るなりして仕事を探すとか、それによって保険に入るという手段も可能性としてはあると思うのに、そう言う事は支援組織はしないのだろうか。また、母国で反政府運動をしていたから帰国出来ないとも書かれているけれど、8年前と言えばアウンサンスーチー氏中心の新政権が発足した時期で、現在の軍部中心の政権がクーデターで出来たのは記事に書かれている「昨年」ではなく、2021年2月なので「一昨年」と書かなければ正確では無い。多分原稿執筆中が昨年だったからそうなったんだろうけど、公開時期は新年と分かっていただろうから、本来ならばそれに合わせるべきなのでは。細かなところと言われそうだけれど、でもそういう部分が正確なのかどうかなので、記事自体の信頼性も評価されるんじゃないの。「細かいことは気にするな」というのは、こと報道に関しては当てはまらない言い訳だと思う。さらに在留資格を喪失しているのに滞在していることも大きな問題なわけで、それはまた別の問題として取り上げるべきだと思うけれど、記事の中では在留資格喪失者の人数が増えて、入管施設に収容出来ないために仮放免したために、保険の無い状態で市中で生活しなければいけないみたいな話にしているけれど、記事の中のグラフを見ると、元々仮放免されている人は入管施設の数倍いるわけで、それならば入国者を厳選しろという話になるような気がする。「<それ、変えませんか? ~ Change it ~>」というタイトルの年始特集みたいですが、自分達の欲することにだけ変更を許諾するだけが"Change it"では無いと思う。
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