2023年1月4日

日本を諦めるトヨタ

ネットで話題になっていたので読んでみたITmediaの記事(前編後編)。筆者は、著名な自動車評論家の池田直渡氏と言う方らしいけれど、自動車業界に詳しい人が読めば「なるほど」という内容なのかなぁ。車に人並みに興味は有るけれど、業界の動向とか詳細には疎い私には、何となく違う意図が書かれているように感じるんですよね。

記事は先ず前編で、カーボンニュートラルの最前線であるトヨタのタイ工場への取材旅行から、トヨタの意図を理解しない(?)日本政府に愛想を尽かし、トヨタは近い将来日本を諦めて出ていく、という話から始まります。これ、よくよく読むと、トヨタの組織中枢を、今の日本からタイと米国に移すであろうと筆者は予測しているんだけれど、どうも書かれている文章を読むと、「トヨタ車」が日本から無くなるような書き方をしているように感じてしまう。最初は「トヨタが日本のマーケットを捨てる」という事を書いているのかと思って読み始めたんですが、多分自動車開発の拠点あるいはデザイン等の中枢部分を、日本から他国へ移設すると言う話なんだろうなと今の所は理解したんですが、どうもまどろっこしい書き方をしている気がする。でも、それって今でもブランドによってはタイで設計していたり、欧州でデザインをして居たり、開発主体がアメリカであったということは有るんじゃ無いだろうか。その上で、各国・地域によって車にタイしてのレギュレーションは違うのだから、そこでビジネス使用と思ったらそれに合わせたビジネスを構築しないといけない。日本市場を政府のやる気無さのために捨てるなら分かるけれど、日本の市場規模は決してそんなに小さくないだろうし、日本で売るためにはそれなりにアダプテーションは必要。となれば、例えば中国とかASEANとか日本よりもマーケット規模の大きな市場にこれまで以上に注力することあるだろうけど、そう簡単に日本市場から撤退する事は無いだろうし。

で、何となくフラストレーションを感じながら二日後に後悔された後編を読んで見たんですが、その内容は言い方は悪いけれど、タイトヨタや現地の協力会社のCPグループを持ち上げる内容が中心のように感じるんですよね。タイで設計製造されて、日本でも人気のハイラックスを例に記事は進むのだけれど、日本で販売されている車種はハイラックスだけじゃない。人気車種の一つではあるけれど、売れ筋の車は軽自動車まで含めるともっと多種多様。前半を読んでいた時にも何となく記事から感じられたのだけれど、後半を読むとますますこの一連の記事って「PR記事」じゃ無いの、という印象が強まるばかり。実際何度か記事先頭に「PR」が付加されていないか確認したくらい。ストーリーとして、人気のあるハイラックスベースのBEVとか、あるいは業務用車だけでなくキャンプ向け車両のような方向にも複数展開することで、ますます人気も売上げも伸びるだろうけど、流石にまだそれなりに市場のあるセダンやクーペ、商用車に手軽かな家庭用の車種までカバーするには、ヘビーだと思うし話の展開には少し無理な印象を受けます。で、最後にはモータースポーツの話でトヨタのカーボンニュートラルの話を続けるんだけれど、それもタイで開催されたレースの話題で、これも少し我田引水の印象が抜けない。

自分なりに感じているのは、世の中が世界的に「環境」重視となり、特に欧州では完全にBEVにシフト使用としていて、その動きは個人的には極端にも感じられるほどだけれど、ウクライナ戦争で電力事情が不安定になると、そのBEV戦略に関しても少し揺らいでいる気がします。自動車大国のアメリカもテスラを筆頭にBEVに急速にシフトしているけれど、アメリカこそまだまだ内燃機関での自動車を話さないだろうし。日本では、まだまだBEVはマイナーで、PHVやHVに移行している最中。そんな状況で、トヨタがBEVに全振りしたらそれはかなりのリスクだろうし、日本のトップ企業の余裕もあって、様々な選択肢に唾を付けているのは、やはり王者の余裕だと私は思うなあ。勿論、それによって失敗や利益損失も大きい物があるだろうけど、それで最終的に市場を取れれば中長期的には成功なわけだし。正直世界的な流れはBEVだろうけど、中国にバッテリーが依存していること、まだまだ大規模な技術革新が必要な事、ウクライナ戦争で世界的に電力供給不足が想定されることなど、逆風もまだまだ強いと思うんですよね。私も、来年車を買い換えたいと思いつつも、どのパワートレーンにするかは大いに悩んでいるところ。色々考える情報は合ったけれど、何となく欲求不満のまま終わった記事のように私はかんじましたね。詳しい人にとっては衝撃的な内容なのかもしれないけれど、素人の自分にとってはそんな印象でした。

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