2022年12月4日

電熱ウェアの異常発熱


モバイルバッテリーを使用して、電熱線を発熱させてアタタクナル防寒着「電熱ウェア」で、温度管理が出来なくて異常発熱が発生して、最悪の場合200度近くまで温度が上昇するケースが合ったという、国民生活センターの報告記事。 私は、この手の電熱線で暖める衣類は持っていないのですが、その最大の理由がこういう以上発熱等危険管理の機能(センサーや緊急遮断装置等)が多分コスト的に入っていないであろうと思うから。

少し前には、モバイルバッテリーの発火騒動が結構頻繁に発生して問題になったけれど、あれも結局コストダウンの影響で、先ず一番コストダウンしようと思うと、内部で使用するバッテリーセルを安価な物にすると思うんですよね。次にコストダウンをするとなると、通常機能(充電・放電)では使用しない物、例えば過充電・過放電のモニター機能とか、バッテリーの温度センサーとか、異常時のシャットダウン機能とか、それだけ安全性は高まるけれどコストも上がる。特にセンサーの類って結構高いですからね。また、突発的な異常電圧異常電流のモニターとかするには、常にモニターするCPU/マイコンが必要になってくるし、それも高い。結果的には、簡易的な回路設計にしたり、神聖性は低いけれどコスト的には安い物に交換されて、思わぬトラブルに繋がる事に。

防寒着としては、一番身近なのかダウンとか人工素材のジャケット、さらには酸化鉄などを利用した使い捨てカイロ(ホッカイロ)等もあり、こう言う電熱線を利用した防寒着は、それらのどちらかと言えば受動的・反能動的な暖房手段が使えないような、さらに厳しい環境で必要だから作られた物だろうけど、多分それを一般市場に流通させる時にはコストが問題になるからリスクも増えるんだろうなぁ。ダウンの場合は、人の体温が蓄積されて暖かくなるから、言い方は悪いけれど人の体温が無くなる(=死亡)までは常に熱は供給されて蓄熱出来る訳だけれど、ダウンの保温能力を超えるような外気の低さだと追いつかない場合も。補完するために使い捨てカイロを併用する事も多いのだけれど、あれも実は継続して発熱するためには「汗をかく」事が必要なんですよね。内部的には、鉄の酸化作用を利用して発熱するので、最初に叩いて中に入っている少量の水を振り掛けて発熱させます。その後、その水分が無くなると、今度は体からの発汗作用で得られる汗が作用して発熱が継続するようになっているので、例えば熱すぎて発汗作用が多くなればますます熱くなるし、寒すぎてあせもで無いとなると暫くすると暖かくなくなる場合も。これって、使い勝手が悪いですよね。寒くて汗なんか1mmも出ないから、暖めて欲しいわけだし。

そんな課題を解決するのが、こう言うエネルギーを別に持っていて、その力で発熱体を駆動して暖を取る方法。効率良くかつ効果的に暖房するためには、発熱体のメッシュだけで無く温度管理が必要だけれど、そうなるとどんどん価格は高くなることは想像でも出来る話。逆に言えば、コストダウンするにはそういう部分を如何に簡略化するかに掛かる訳で、良い悪いは別にして物作りしている人間にとってはあるがちなジレンマと言えるかも。勿論、安全第一で無ければいけないわけですが。そう言う理解をして居るので、最近ちょっと話題になっている中国製BEVが、有る程度バッテリーの安全性は下げてもコスト重視にして、万一の場合には個別に対応するみたいな話をちょっと耳にして、「えー」と感じた次第。テスラなんかも、有る程度バッテリー事故が発生することを織り込み済みで全体のデザインをしているとか聞くけれど、うーんそれはそれで一つのシナリオだと思うけれど、一寸違う気がするけどなぁ。いずれにしても、今の技術ではかなりの対策や対応が可能で、バッテリーは十分に安全な部材の一つなんだけれど、ちょっと手を抜くとそれが無くなり、逆にエネルギーの固まり故にかなりのリスクもある部材だということはもう少し理解して欲しい気がする。

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