2022年11月24日

第二開国

久々に面白い小説を読んだ気がします。 藤井太洋氏新作「第二開国」。奄美大島の架空の街での、リゾート開発とその裏の目的の物語で、最初読んだ時に以前読んだ楡周平氏の「プラチナタウン」見たいなストーリーだてだなぁと感じつつ読み進められました。

この作家さん、実は自分の中ではハードSFの作家さんという認識で、デビュー作になるのかな「Gene Mapper」とか「オービタルクラウド」とか、結構好きな傾向の作品で自作が出るのを楽しみにして居たくらい。実は今回購入した「第二開国」も、最初はSF系の作品だと思って購入したら、SF的要素は殆ど無くてどちらかというと環境問題小説というか何て言うか、現在を舞台にしたフィクションで、実は最初は一寸後悔しつつ読み始めた位。でも、読み進むうちに結構面白く読む事が出来、かつ読んでいると「あれ、これ楡周平氏の作品だっけ?」と勘違いする感じも。

唯一難点と感じるのは、舞台が奄美大島と言う事で、現地の方言が頻繁に登場して、それが重要なドラマの舞台装置の一つにもなっているんだけれど、どうも慣れない言葉が突然文字で表現されると、ちょっとそこで読む事が止まってしまい、自分的には苦手なんですよね。ただ、若い頃はそういう部分は「すっ」と読み飛ばしつつ何となく認識して先に進める「軽やかな読書方法」みたいなものがあったんですが、年を取るとそれが段々と難しくなってきて、そこで一旦停止をして一つ一つ文字を追うような読み方になってしまう。だから、そこで自分の頭の中で進んでいた「物語」が止まってしまい現実に戻ってしまうんですよね。それが凄く読後感というか物語に没入する雰囲気を壊してしまう。かといって、その台詞を標準語ッぽく編に方言みたいな感じにしたら、多分小説の根幹としての構造がいい加減になってしまうだろうし。

実は、藤井太洋氏の小説は、SFと思われるものは何冊か購入済みだったんですが、現代小説ッぽい内容の作品はちょっと回避していました。でも、こんな感じの作品ならば自分としても嫌いじゃ無いし、結構面白く読めそうなので、早速Amazonで過去作品を追加購入しようかと思案中。今購入しておいて、年末年始のお休み時に楽しむのも良いかもしれない。

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