魔女裁判

佐々木俊尚氏のVoicyから、「打倒統一教会」に傾く怪しい社会正義感について。

「悪い奴は潰せばいい」という私的制裁に走れば、いずれその剣は自分にも向かってくる可能性があることを考えて欲しい。／「統一教会」問題で、わたしが非常に不安に感じていること | 佐々木俊尚「毎朝の思考」/ Voicy - 音声プラットフォーム https://t.co/AWrLKkynP2 pic.twitter.com/kMKgyDI8DL

— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) September 2, 2022

私も何度か「怪しい団体かもしれないけれど、だからと言って問答無用に排除することが正しいのか」という疑問を感じて書いているけれど、まさに佐々木氏が語っているとおりだと思う。それが皮肉なのか何なのか分からないけれど、今「反統一教会」を叫んでいるメディアや野党や社会集団の人達って、安倍元総理の「国葬儀」にも「法律が無い、憲法違反だ」と反対している人達と被っていて、国葬儀に対しての全く正反対のことを言っているんですよね。

さらに言えば、弁護士あるいはジャーナリストとして、オウム真理教の破防法適用に反対していた人達が、今回は旧統一教会に対して厳しい意見を言っている。「反社会性」とか「カルト性」と言う意味では、オウム真理教の方が、実際にサリン事件で殺人事件も起こしているし、その後の捜査では社会転覆も計画していた事も分かっていたのに、それでも破防法適用には専門家である弁護士界隈からの反対が多かったわけです。でも、今回は紀藤弁護士等実際に霊感商法に関わっている人達を中心に、総攻撃に近い状態。最近では少しトーンダウンというか、反統一教会的意見の中に、反霊感商法みたいな立場で話をしている様子も見られるけれど、でもそれならそれで最初の頃の意見と矛盾するわけですよね。霊感商法が統一教会だけの問題では無かった事は明らかなのに、その様に誘導するような発言や行動をしていたわけだから。 それが意図したものなのか、社会の流れの中で修正された物なのか分からないけれど、でもそれでも本質的な部分では旧統一教会だけをやり玉に挙げるような行動は変わっていないわけで、そこはおかしいと思う。

佐々木氏のVoicyの中では、こう言う社会的な流れというかうねりが、昔で言うファシズムに繋がるという事を言われているけれど、確かに層だと思う。それでも、今はレガシーメディア以外にもネットでの発言機会もあるしその影響力も徐々に大きくなっているから、こういう機会で反対意見も言えるし、場合によっては圧力として是正することも可能なんだと思うけれど、逆にそう言うものが無かった時代ならば一気に魔女狩りとか宗教裁判みたいな状態に突入してもおかしくないのかもしれない。情けないのは、世論に押されて自民党も「統一教会との決別」みたいな事を言い出しているけれど、確かに怪しい集団とは関係を断つべきだと思うけれど、その判断が難しいあるいは出来ない場合にどうするのかと言う所が曖昧なまま、世論に迎合しているだけでは何も解決しない。大体、統一教会との関係は野党側にもジャーナリスト側にもあったのに、そちらは全く殆ど不問に付されている状態なんですからね。本当ご都合主義だと思う。

個人的には何度も書きますが、私は宗教に対しては否定的な考えや立場の持ち主です。でも、某かの精神的な支えやよりどころが必要な場合も有るし、必要な人も存在する事は確か。だからと言って、今の宗教(宗教法人や宗教活動)はやや優遇されすぎだと思うけれど、明らかに法を犯している証拠が無い限りは、過去の事例とか周りの雰囲気で罰することは、それはリンチでありそれこそ9月1日に毎年話題に上がってくる「関東大震災時の朝鮮人虐殺話」にも通じる話だと思う。私は、今回の件をきっかけに、明らかに犯罪行為と思しきことはどんどん明らかにして法律に処すれば良いと思うし、それが旧統一教会に偏在しているならば、改善命令を出せば良いだけの話しだと思う。実際には、霊感商法としては旧統一教会以外の方が最近は増えているらしく、そうなると今の偏った世論は単なるデマという事にもなってしまう。さらに言えば、今は統一教会と自民党の関係が問題視されているけれど、例えばそれ以外の政党が統一教会や他の宗教や団体との関係が潔白である照明は全くされていないわけですよね。自民党に身の潔白を要求するのであれば、まずは自分達も問題無いことを証明するべきだと思うのだけれど。それを遣らずに合いでのみ批判する事は、実は問題の本質はそこに無い事の証明だと思う。