2022年5月29日

ポケットを増やそう

ジャーナリストの佐々木俊尚氏のvoicyから、『「ちっちゃい小物入れ」をたくさん用意することが発想の秘訣』という話。冒頭音楽家の例から話が始まりますが、内容を聞いて思いだしたのが、音楽家の中でも「即興演奏(improvisatioin)」が得意な人の言葉。私の高校時代の同級生で、音楽の才能があった友人(クラッシックを子どもの頃からやっていたけど、高校では軽音部に入っていて、医学部進学希望という、まぁある意味「天才」的なヤツ)がいて、選択学科の音楽で同じクラスだったんですが、彼がこの即興演奏で簡単に色々な曲を弾くので、どうしてそんなに簡単に即興で素晴らしい曲を弾くことができるのか質問した回答が、日頃から色々なメロディーとかアイデアを溜めておいて、それをその場の雰囲気や情景に合わせて繋ぎ合わせて行く、みたいな回答だったんですよね。

そこで自分的に目から鱗だったのは、何か才能的なものでぱっと閃いて凄い曲が生まれてくるのでは無く、日頃の膨大な積み重ねがあって、それを組み合わせて創作するという事で、それってやっぱり日頃の努力の賜なんだなと言う事。勿論、幾ら膨大な蓄積があっても、上手くそれらを繋ぎ合わせる才能が無ければ感動的な曲にはならないし、またそれを短い曲、ある程度長い曲、その場の雰囲気にあった構成等を瞬間的に判断して、ある意味リアルタイムに繋ぎ合わせていき一つの作品を作る事は、やっぱり並大抵な才能では出来ない事だと思う。でも、何事もちゃんとした下地というか基盤があって、初めてその上に才能の開花というか、作品が生まれてくるんだと納得しました。

で、高校卒業後暫くはそんな話は記憶の隅に押しやられて忘れていたんですが、就職して仕事をするようになると、当時はバブル前でお金もあった時代なので、新入社員にも色々な社内外の教育コース・研修コースに参加出来た時代でした。そんな中の一つで感動したのが、エンジニアとしての技能上達や成長は、何か一つ極める場合であっても、それに関係有る・無い関わらずいろいろな知識や技術の「引き出し」を一杯作っておいて、その中から必要なものを組み合わせて行くことが大切。だから、若い頃は一つの事に根を詰めるのでは無く、色々なことを経験した方が良い、みたいな話だったと思います。で、その時にぱっと思いだしたのが昔の「即興演奏」の話で、以後自分の思考形態というか、生活全般の中で色々な情報の断片を兎に角集めよう、蓄えようと思うようになったんですよね。後々考えてみたら、そう言う「ふとしたときに役立つ知識」って英語で「tip(s)」と言うけれど、それも同じような意味だよなぁと、再び感心した記憶が。

音楽の即興演奏の場合は、始めたらその中で最後まで創り上げないといけないけれど、佐々木氏のような書籍の場合は、何度も遂行して組合せや内容を編集出来る点が違うけれど、音楽だって、一度演奏したものを記録して、それをさらに磨き上げるのであれば同じ事。さらに言えば、音楽でも執筆でも、単に知識として記憶しているだけじゃ駄目なんですよね。音楽家なら、何度もそのフレーズを使いつつ色々なバリエーションを展開した経験があるから、咄嗟の時に閃いて曲の中に組み込むことが出来るだろうし、執筆にしても個々にどの様な表現や情報を入れたら効果的か、あるいは意味が深まるかとかいう判断をしながら、やはり作品を磨き上げていく。それが出来るようになるためには、音楽同様日頃から多数の「書き物」であったり、文章を読み書きするような機会が無いと、やはり効果的に構成を作る事は出来ないと思う。そう言う事が出来る資質というのは、自分の経験から言えば日頃から「Give & Take」というか「Input & Output」をしている事が重要ですよね。小さくても良いから、短くても良いから、兎に角毎日何か出力すると言う事は重要だと思う。で、それって結局は「ボケ防止」にも繋がる訳で、一石二鳥なのかも(笑)。

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