2022年5月17日

やぶ蛇で墓穴

今回のロシアによるウクライナ侵攻のロシア側の言い分の一つは、「NATOによる東方拡大阻止」で具体的にはウクライナのNATO加盟阻止だったわけですが、動かないと思われていたスウェーデンとフィンランドがNATO加盟を迅速に進めてしまい、まさにロシアにとってはやぶ蛇な状況。 

実は勉強不足な自分は、今回の話題がニュース等で伝えられるまで、この二ヶ国がNATOに入っていないとは知りませんでした。何となく北欧三国はとっくに加盟しているものと思っていましたが、実際に加盟しているのは西側のノルウェーだけ。まぁ、ロシアと国境を接しているフィンランドが中立的な立場でこれまで加盟してこなかったことはまだ理解出来るけれど、スウェーデンも未加盟だったというのは意外。今回調べてみて面白いと思ったのは、ノルウェーはNATOには加盟しているけれど、EUには加盟していないんですよね。逆に、スウェーデンとフィンランドは、EUには加盟している。政治、経済、国防は、それぞれ個別の理由が有ると言う事なんだろうけど、この辺りは日本とは全く異なる地勢の中にある地域なので、中々分からない部分なのかも。

ロシアとしては、ウクライナを支配下に置けば、フィンランドに対しては何もしなくても圧力になるだろうし、それはスウェーデンに対しての圧力になる、みたいな考えだったんでしょうね。ところが、窮鼠猫を噛むでは無いけれど、ウクライナの抵抗は激しく、また強引なロシアのやり方にこれまでの対応を180度転換してフィンランド迄NATO加盟に走るとは、完全に予想外な事態と言えそう。ロシアとしては電撃的にウクライナ侵攻に成功すれば、全て上手く行くという想定で始めた戦争何だろうけど、それが失敗。それならば、現在事実上占領している東部地域の支配地域拡大くらいで収めて、兎にも角にも戦争を止めていれば、まだ今回の北欧二国がNATO加盟に走ることも無かったかもしれない。結局はロシア自身が墓穴を掘り続けているのが、今回のウクライナ侵攻の一面なのかもしれない。

ここ最近のウクライナの戦況を見ていると、東部北部ではロシアの進攻を国境まで押し戻しており、今後はロシア優勢な東部南部や、南部地域でどれだけ反攻出来るかになりつつあるように感じます。こちらは、元々のロシア占領地があるため、兵站的にも有利でこれまでのようには行かないことは素人の自分でも感じる所だけれど、士気が落ちているロシア軍が、さらに長期間どれだけ持ちこたえられるのか、結構内部崩壊する方が早い気もします。とは言っても、ロシア軍としてもこれまでのような失敗はもう許されないことは百も承知しているだろうし、彼らとしても時間をかければ自分達の方が有利と言う事も理解しているならば、別に焦ることは無いと思うかもしれないし。ウクライナ側としては、西側から提供を受けている武器を早急に前線に配置して、現在のロシア軍以上の火力で押切、一気に形成を逆転したいところでしょうね。ただ、それはこれまで以上に被害が大きくなることも意味するわけで、戦争の冷酷な一面を改めて知る気がします。停戦は、まだまだ遠い希望なのだろうか。

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