東京大学と理化学研究所が、水を超高速で通す一方塩を通さない「フッ素ナノチューブ」を開発したという、ネットが一寸ざわついていたニュース。日本の多くの地域は、河川からの取水が可能で、飲料水にしても世界では稀な水道の蛇口からそのまま飲める「水」が利用出来るけれど、それでも離島地域とか淡水化しないと生活水に困る地域も存在。世界的には、中東などの砂漠地域や、太平洋の島嶼地域等地下水が入手出来ない地域も多いわけで、日本の淡水化技術を当てにしているところも多いはず。
記事の中で「塩は通さないが、アクアポリンの4500倍の速度で水を通す」と書かれていて、「アクアポリン」って何と疑問が。最初は、これまでの淡水化フィルターの素材かなと思ったんですが、細胞の中で水を透過させるものなんですね。その4500倍もの透過性能を持つというのは、多分凄い技術何だろうなぁと化学や生化学には全く知識の無い自分は「4500倍」という数値に驚くばかり(笑)。記事を読む限りでは、フッ素化ナノチューブ自体の構造で、水分子は通すけれど、塩化物イオンは内部が負に帯電しているので通さないという仕組みで、高速での淡水化が可能らしい。電気分解のように大量の電力が必要とか、高温・高気圧での作業が必要とか、大量のエネルギーが不要なようなので、例えば太陽光発電などで回数を組み上げる部分を作れば、後は何もしなくてもフィルターを通せばどんどん淡水が製造出来るんだろうなぁ。
そのフッ素化ナノチューブの製造コストとか、どの程度大規模な施設が出来るのかまでは不明だけれど、物理的な製造物は、大量生産すればコストは下がる物なので、その点は期待出来そう。今後は、透過させて残った塩を再利用する方法とかあるとベターですよね。案外、調理用食塩としてブランド化されたりして。あるいは、工業製造にも塩は必要だから、そちらの需用とのバランスはどうだろうか。炭水化の需用は大きいと思うけれど、副産物としての処理方法もしっかり準備しないと、例えばその塩を違法投棄して土地が荒れてしまうとか、地下水が塩水化するとかの問題は避けたいし。
多分まだ要素技術の開発段階で、実証試験などはこれからなんだろうけど、水不足に悩む地域は多いだけに、日本としては是非実用化して国際援助の切り札として使って欲しいですよね。日本は水資源に恵まれているからそんなに気にならないのだけれど、地球上の水資源のうち淡水は僅か2.5%であり、かつそのうち河川湖沼地下水として存在しているものは全体の0.8%(残りは何局や北極の氷や氷河)で、さらに河川や湖沼等直ぐに利用できる物は0.01%と本当に微々たるもの。海水淡水化の恩恵が、いかに大きいか再認識させられます。高速淡水化技術で利用出来る水資源が増える事以上に、既存の水資源の無駄遣いや浪費対策も進めないとですね。
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