2022年4月30日

何を言っても怪しからん

混迷を続ける、静岡県内を通るリニア新幹線のトンネル工事。JR東海側が、湧き水を組み上げてその後戻す方法と、上流の田代ダムでの取水を調整して、流量を維持する2案を提案。個人的には、この話を聞いた時には、具体的でかつ大井川の下流域での水量は維持されるわけだから、妥当な提案と感じました。

ところが川勝知事はこれらの提案を一刀両断。「乱暴な議論」と切り捨てて、議論にすらならないという態度。でも、元々彼の言い分は、トンネル工事により露水が発生し、それが大井川に戻されないと下流域の生活に影響するという物だったはず。だからJR東海は、工事箇所よりも下流地域の流量を維持しようと今回の提案をしたわけです。ところが川勝知事は「水質や水脈、それに生態系に影響がある」と論拠を変えてくる。

掘削時に出る水を戻せと知事は言うけれど、それだって本来は地下水系を通って湧き出て大井川に出るものだから、露水となって中間で湧き出た時点で「水質」も違うだろうし「水脈」だって変化するでしょう。だから、本来ならば「露水は許せない」という話になって、つまり「トンネル工事は絶対に許可しない」という話にならないとおかしい話。でも、彼はトンネル工事の否定自体はしていないんですよね。だからJR東海に対策案を出せと言っている。さらに、生態系に影響があると言うけれど、何が理由でどう言う影響があるのだろうか。例えばこれまでのように水量が減ると言うのであれば、渇水期にこれまで以上に水不足になる地域が大きくなり影響すると言うような話なら理解出来ますが、水量は変わらないと言うのであればどう言う影響があるのだろうか。 

元々の理由は、工事による湧き水が多いから、下流域の水量が減り生活に影響すると言うものだったはず。これまでのJR東海の説明では、その流出量の算出方法や評価量が曖昧だったので地元側も不信感を抱いていたわけですが、今回は元の水量を維持するという前提でその対策方法を説明している。だからこそ、知事以外の関係者や流域自治体も評価する発言をしているわけですよね。リニア新幹線に関しては、色々な意見はあるだろうけど、予想される東南海地震による東海道新幹線のパイパスという意味もあるし、東西の大動脈をさらに太くするという経済的政治的な意味も大きい事業。リニア新幹線の停車駅は静岡県内には設置されないけれど、それによって東海道新幹線のダイヤに余裕が出来、結果的にこれまで停車していないのぞみ号の県内停車や、ひかり号の県内停車本数が増加するなど、波及効果が期待出来るもの。新幹線通勤をしている一人として言わせて貰えば、今は1時間に1本の浜松停車(や、静岡停車)のひかり号が、1時間に2本になったらその影響はかなり大きいと思うし、それによって静岡から都内や中京圏は、完全に通勤圏内になります。場合によっては、早朝の静岡始発・浜松始発の新大阪行きひかり号とか設定されれば、近畿圏への通勤も無理なく出来るようになるだろうし。言い方は悪いけれど、静岡県の端っこをちょっと通して上げるだけで、その見返りはかなり大きいと思うんですよね。で、懸案だった水問題の対策も提案されたならば、後は努力して妥協点を見つけるだけ。それが知事の仕事じゃないだろうか。

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