2022年3月6日

自然災害と人災

ウクライナへのロシア侵攻に関して、テレビ朝日社員の玉川徹氏や、弁護士の橋下徹氏の発言が物議を醸しているけれど、それに対してネットでは「戦争経験の無い日本人は、今回のウクライナの状況を大規模自然災害に遭遇したように感じているので」という意見が書き込まれていて、思わず納得してしまいました。第二次世界大戦後、70年余りも戦争体験は無いけれど、毎年のように大規模な自然災害を経験している日本人としては、それにどう抗うことも出来ない事は分かっているから、じっと耐えて捲土重来を目指すという認識が何処かに眠っているというのは、結構言い当てているんじゃ無いかと思います。

例えば、今日本のとある場所に記録的な豪雨が襲来していて、それこそ河川は大氾濫をして陸地のあちこちに孤立場所が発生。自然と闘いながらも、決壊しそうな堤防を修復したり、火災発生の消化作業に走り回ったり、あるいは洪水を排水する努力をしたりということをやっても、一向に追いつかないし復旧しない。ならば、それらが自然に落ち着くまでは一度安全な場所に全員が避難し、水が引いたら戻って復興すれば良いじゃ無いかと、と言うようなことどちらも想定して言っているんでしょうね。被害の程度の違いはあるけれど、確かに止まない雨はないし明けない夜も無い。でも、今回の様なある意味ロシアのプーチン大統領の独断みたいな場合、仮に彼が何らかの理由でその地位から転落しても、彼一人が原因では無く、その回りに既に固まっている組織体が無くならない限り解決しない問題。となれば、極端な話現在の「ロシア」という国が存続する限りは、現状は好転しないだろうし、仮に今回は何らかの解決策が得られたとしても、また将来再発するかもしれない。実際今回のケースだって、一度は解体されたソビエト連邦が、ロシアとして戻ってきたようなものなんだろうし。

日本の戦後と今回の件を比較するのも正直違う話だと思うわけで、日本の戦後の占領政策にしても、勿論色々問題はあったことも事実だけれど、取りあえず民主主義を標榜するアメリカが占領したから、何とか自由も平等も担保された所はあったと思います。同じ事が、今のロシアに期待出来るかと言われれば、それは無いだろうし、ロシアが他の地域にこれまでやってきたことを振り返れば、仮にウクライナが今ロシアの要求を全て受入で停戦合意したとしても、その後には戦闘よりも過酷な運命が待っているようにしか感じられない。アメリカや欧州の不十分な滞欧や楽観的な考えが、今回のロシアによるウクライナ侵攻を招いた原因の一部では有るだろうけど、そのロシアのこれまでの行為自体じゃぁ許容できる範囲だったかと考えると、それは絶対に無い。何らかの理由で、ロシア側の侵攻計画が予定通りに進んでいないこともあり、戦闘は短期間にどんどんエスカレートして行き、とうとう一般民衆に対しての無差別攻撃みたいな事も始まった状況で、ここで停戦してロシア側が欧米各国が納得するような穏便な滞欧をウクライナに対して実行するという確証は、この二人や同様の意見の人達はあると考えているのだろうか。

そう言う意味では、結果はどうあれ、戦後のウクライナ、戦後のロシアは、戦闘以上に過酷な時期に突入することは確実ですよね。ウクライナ関しては、多分欧米や日本などからの援助も入るだろうけど、元には戻らないし時間も掛かるだろうし。ロシアに関しては、どんどん経済的に外部とシャットダウンされ、今は何とかなっていても、徐々に真綿で首を絞められるような状態が今後どんどん進んでいくような気がします。中国とか、インドとか、一部の国は援助に回るだろうけど、それでも今回の件を轍として、例えばロシアからの自然資源輸入は躊躇するだろうし、ビジネスに関しても距離を置くようになるだろうし。どちらに転んでも過酷な時代が待っていることは事実だけれど、忘れちゃいけないのはこの発端はロシアの理不尽な言いがかりだったわけで、少なくともウクライナ側が何らかの譲歩をするべき案件では無い事は確か。確かに日々の人的被害は一刻も早く止めるべきだけれど、その責任はロシア側にある事は忘れちゃいけない。少なくとも彼らの言っている事は、日ごろ彼らが批判しているような、力のあるもの、権力の有るものに従えと言っているようにしか聞こえない。ある意味「平和ぼけ」と言われても仕方の無い発言だと思う。

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