2022年3月6日

コアチーム

東洋経済 ONLINEに掲載された、佐々木俊尚氏の「正しい情報を見抜く力」に関しての記事。ウクライナへのロシア侵攻に関しての情報伝達に関して、最近佐々木氏がよく書き込んでいる情報収集方法とその咀嚼方法に関して整理まとめたもの。情報の起点を、特定個人では無く「群」で捉えて、その振り幅で信頼度を判断していくというもの。

今回のロシア侵攻に関してのさまざまな情報に私も日々触れているんですが、その中で感じるのは新型ウイルス関連の情報拡散と比べて、比較的信頼性の高い情報が流れている気がします。個人的に感じるその最大の理由は、こう言う事象に関して国内で一番の専門組織である、防衛省、防衛研究所のメンバーからの発信が多く、且つその内容が正確で有るでは無いかと感じるんですよね。しかも、所謂「学者的発言」ではなく、かなり一般的な感覚に近い感じでの発言も多く、そう言う意味では取っ付きやすさも今回の大きな特徴じゃ無いだろうか。さまざまな分野で、その中でも世界的な権威者は日本にも多くいらっしゃると思うけれど、そう言う知識を持っているという事と、それをわかりやすく的確に伝えるという能力は独立しているもので、中々両方に恵まれた人材は少ないと思うんですが、今回は国内メディアを網羅するに足りる位の人材が幸いにもいらして、それで情報としての底上げが行われている気がします。

勿論、全てがそんなに上手く行くわけでも無く、中には昔の肩書きを利用したようなまことしやかな陰謀論や、荒唐無稽な発言を繰り返す「著名人」は今回も多く見られるけれど、結局は信頼性の高い発言の重さと厚さに、今回は跳ね返されている気がする。新型コロナウイルスだけで無く、福島第一原発の風評被害などにもして、あの時にこれだけの人材があれば、今の状況はかなり変わっていただろうなぁと感じる反面、だからこそ今からでも遅くないからしっかりとしたポジションの人が確固たる情報発信をし続ける事が重要なんだなと再認識もしました。で、振り返ってみると、この考え方や手法って、我々が開発の仕事をしているときに何度も問題に直面し、それを解析して解決していくときの手法そのままなんだという事。

問題の発生=今回の様な事件の発生と言い換えれば、先ずはその原因を特定しないといけません。その為には、問題再現手法を見つけるために、色々な手順を試すわけですが、これは今回の場合はこれまでのロシアとウクライナ、あるいはその周辺国の状況精査みたいなものと言えます。その時に必要なのは、起点となる原因を幾つか想定することで、ここで間違えると明後日の方向に向けて無駄な努力を延々と繰り返すことになってしまう。これが佐々木氏の言うところの「スターと地点を決める」事で、どれだけ正解に近い場所からスタート出来るかどうかは、やはり知識と経験の蓄積が大きいわけで、それは一朝一夕では得られないもの。そう言う場合には、そう言うスキルを持つ先輩なり専門家をどれだけ回りに知っているかが重要になります。その次に、そのスタート地点から一定の振り幅の中で考えを進めていくわけですが、問題解析の場合は見た目は似たよう事象でも根本原因が全く異なる場合も有るので、そこは一寸違うとも言えますが、ただ大筋ではどれだけ筋道立てて検証出来るかが問題解析の一番の早道。ソフト屋さんはハード屋さんのせいにしたがるし、その逆も真。自分はたまたまその中間くらいの場所に居たので、一寸違う視点を身につけられたのは結構大きかったと思うけれど、中々そう上手くは行かないので大変なんですよね。結局は、どんな事象に対応するにしても、その基本的な部分で信頼出来る「コアチーム」みたいな情報源をどれだけ持っているかが、今の世の中では一番重要な事だと改めて感じます。だからこそ、スタート地点、起点設定というものがますます重要になるわけで、その為にはあえて反対意見にも耳を傾ける柔軟性が求められているんだろうなぁと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿