2022年3月30日

クラウド化の功罪

東洋経済サイトに掲載された、ジャーナリスト佐々木俊尚氏のコラムから、「資料(=紙情報)は全てクラウド化しよう」という話。一昔前には「ペーバーレス」と呼ばれていて、あの頃も紙の書類からの脱皮見たいな大号令が掛けられたけれど、結果的にそんなにペーパーレス化が進んだとは言えなかったと思います。それが、今度は「クラウド」と、何か新しいワードが牽引して、さらに2年前からのコロナ禍によるリモートワーク全盛の時代となり、現在では常識となった事柄ですよね。かくいう自分も、仕事の方は会社が推進しているからそれに合わせて行くしか無いのだけれど、自分の個人的な情報や書籍に関しても、どんどんクラウド化しつつあります。ただ、個人的に幾つか問題点があると思っていて、100%のクラウド化は物理的には無理だし、やるべきでも無いとも思っているんですよね。

その一番の理由は、クラウドでの保存容量(ストレージサイズ)の問題。その人によって、必要な保存容量は大きく異なると思いますが、例えば自分の場合は完全クラウド化使用と思うと2桁以上足りない。例えばGoogleだとアカウントを一つ取ると15GBのストレージが貰えて、一般的には十分だと思いますが、私は足りないので現在は200GBの有償契約を利用しています。実際にはそれでも足りないので、ローカルにNASを2台(RAID-5構成で12TBと16TB)を準備し、主に写真データや動画データ、過去の文書データ等バックアップも含めて保存している状態。写真データは、数年前まであった幾つかの「容量無制限」のクラウドサービスを幾つか利用しましたが、結局生き残った物はゼロで仕方なくオンプレミス(と言うと聞こえが良いが-笑)に戻る事に。容量とともに問題となるのは、アクセススピード。OneDriveやGoogleDriveで共有しているファイル(書類)にアクセスする場合、最近でこそフリーWi-Fiもあるので何とか理由出来るけれど、一寸サイズのあるパワーポイント何かだと、上げるにも落とすにも時間が掛かる場合も。自宅では、一応1Gbpsの光回線を使用して居るので、自宅と外でのギャップは結構大きく感じるんですよね。5Gが今の4G位の普及度合いになり、データ量もそんなに気にしなくて利用出来るようになれば、また一つ時代が変わるのかもしれないけれど、それまではクラウドにデータを上げて、それを複数拠点でストレス無く利用出来るまでには、まだまだ時間が掛かりそう。

そんな中でも、書籍関係では2年位前からKindle版を購入するようになり、現在は9割Kindleで1割が印刷媒体くらいになまで。こちらは、Kindle版購入することで保存場所(Kindle Library)も含めての提供になるので、その心配は不要。また、読むときには予めダウンロードして置けばネットワークに依存することも無いので、そう言う意味でも先に書いたような回線スピードの問題もある程度忘れることが出来ます。また、データの性質上データ(=Kindle本)をこちらで更新することは無いので、アップロードを心配する必要は無いし、そう言う意味では一番クラウドで利用するサービスとして適している気がします。問題は、それら書籍が表示されるのが「画面の中」なので、これまでの書籍のように机の上に複数並べて自由に参照しつつ画面上での作業をするのが難しい事。外付けディスプレーを増やして、表示領域を広げれば良いのだけれど、画面が縦だろうか横だろうが広がっていくと、左右上下に常に気を配らないといけなくなり、これが結構疲れます。机の上に書籍を広げて置ければ、必要な場合は手元に持ってきても良いし、配置も自由。だから、今一番欲しい「複数画面システム」は、机の上に置く8K位の机サイズの表示器と、これまでのモニターのような感じの4K位のディスプレーの組合せ。机上の表示器には、必要な書類・資料データを表示して、それを見つつ正面の作業用画面でファイル更新とかするわけです。こうすると、これまでの書籍を手元で広げての作業に近い物が得られるんじゃないかと。

クラウド化する事に自分も異論は無いのだけれど、そうした場合一つはクラウドにアクセスする手段、もう一はデジタル化したデータを解読(開く)アプリが必要で、その為にはプラットフォーム(PCやスマホ)も必要になるわけで、それが単体で完結出来る印刷媒体との大きな違い。災害で手元のデータは喪失する可能性もあるけれど、クラウドだってサービスが停止する可能性がゼロではない。さらに言えば、過去経験したように、そのサービスプロバイダーがずっとサービスを継続してくれる確約も無い訳で、それも考慮しないといけない課題の一つかなと。そうなると、MicrosoftとかGoogleとかAmazonとか「長いものに巻かれた方が有利」になるんだけれど、それはそれでどうかなと言う細やかな疑問も浮かんでくるし(笑)。そのMicrosoftやAmazonだって、過去無制限ストレージサービスなんて数年でギブアップしたわけですからね。安直にサービスに飛びつくリスクは、彼らにだってある訳だし。例えば、佐々木氏のように他拠点生活をする場合、各拠点にバックアップを兼ねたサーバーを置いて、拠点数の数だけ二重三重にバックアップする事で、データの可用性を高める事は有りかもしれない。個人でやらなくても、自治体がそう言うデータサービス込みで地元の住居を紹介してくれるとか、やり方は色々あるんじゃ無いだろうか。それが、東日本と西日本とかある程度離れだ場所になればなるほど、少なくとも自然災害のリスクは軽減できるだろうし。物理的情報をどうデジタル化するかという課題は、それをどの様に保存し利用するかという属性も含めて考えないと、「積ん読」では無いけれどデータとして保存だけして終わりになりかねない気がします。

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