昨日発表された、米国アカデミー賞各賞。日本からの「ドライブマイカー」も、国際長編映画賞を「おくりびと」以来13年振りに獲得したと話題になっていたけれど、残念ながら今回のアカデミー賞最大の話題は、主演男優賞を獲得したウィル・スミスによる壇上での平手打ちトラブルだろうなぁ。
トラブルの切掛は、長編ドキュメンタリー賞のプレゼンターを務めたコメディアンのクリス・ロックが、ウィル・スミスと同席していた奥さんのジェイダ・ピンケット・スミスを揶揄するような発言をしたこと。彼女が脱毛症に悩んでいるため、頭髪を日本で言うところの「坊主刈り」にしていた様子を取り上げて、デミ・ムーアが同じような坊主頭で主演して話題になった「GIジェーン」の続編が待ちきれないと、ジョーク(?)を飛ばしたところ、ウィル・スミスが直ぐさま壇上に上がり、クリス・ロックに平手打ちを与える事に。
日本やアジア圏だと、容姿を取り上げての冗談は決して珍しい事では無いけれど、それでも今回の様に病気が理由の事柄を冗談のネタに取り上げることは、決して良く思われないし冗談としても非難されることが多いと思うんですよね。それが、人権とか性差別に厳しい欧米では論外だと思うんですよね。仕事でアメリカに出張するようになった時、先輩社員から色々注意というか現地生活のノウハウみたいなものを教えて貰いましたが、必ず避けるべき話題として、宗教、性差別、容姿に関してというのは最初に言われました。宗教に関しては、「自分はぶっきょだから、キリスト教はよく分からない」と言えば何とか逃れられるし、性差別に関しては「レディファースト」とお呪いを唱えて何とか乗り切れる。ただ、容姿に関してはつい日本人的な刷り込みみたいなものが出る場合も。とある時に、あるエンジニアの話題になった時に、私がつい日本で「あぁ、あの太った人ね」のつもりで"Ya, I know that fat guy."と言ったら、瞬間話し相手のエンジニアが血相を変えそうな勢いで「いいか、絶対彼の前で"fat"とは言うなよ」と側溝で釘を刺されました。人によっては気にしない人も居るんだろうけど、向こうの人は日本人の感覚で言えば「太っている」体型の人も、本人や周りの人は「普通の体型」と思っている場合が結構有るのと、やはり言われて気分の良い言葉じゃないし。
いきなり壇上に上がり平手打ちを返したウィル・スミスの行為も、幾ら伴侶を侮辱されたと言っても過激だったわけで、あそこは「それは失礼だろう」と言うくらいで治めるべきだったことも事実。アカデミー賞の本番中だったわけだし。だから、彼が自分のアワード受賞時に謝罪した事は分かるんですが、涙ながらに自分が何故ああいう行動を取ったのか、これまでの不満も含めて説明為ている様子が、何故かメディアは彼が自分の行動を謝罪しているとしか伝えていないように感じて、事の発端である品のないジョークに関しては今の所伝えられない。あらためて、ジェイダ・ピンケット・スミスに対しての侮辱になるからあえて発言を取り上げないのかもしれないけれど、ウィル・スミスの軽率な行為と並べて、彼の配慮を欠いた場にそぐわない品のないネタに関しても批判されるべき事だと思うのだけれど。日本のマスコミだから、自分達の規準でそんなに問題だと思っていないのだろうか。そうだとしたら、それはそれでまた別の問題だと思うけれど。
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