2022年1月26日

言うは易く行なうは難し

この3月末で日本テレビを退職して、研究者の道に進む桝太一氏のインタビュー記事。記事内容としては、すでに桝氏ご本人のコメント以上のものは無いのだけれど、 

『どうすれば、もっと適切に科学を伝えられて、より良い社会に貢献できるだろう?』

と言う事を、「あの」朝日新聞が記事として取り上げることにある種の皮肉を感じる自分は、やはり心が曇っているから?(笑)

 自分は一応理系の人間だし、生物学とか化学系は殆ど???ですが、物理学とかコンピューター系はまぁ平均以上くらいの知識はあると思っています。その程度のバックグラウンドはあるので、科学系の記事を読んでいてもそれなりに理解することは出来ると思うし、仕事や生来の性格から「分からなければ、疑問を感じたら、先ず検索」という事も苦にしないので、そんなに科学系の記事や情報に抵抗感は無いのですが、一般的にはやはり「難解」と多くの人が感じるのは科学系の記事だろうし、それ故に情緒的な内容や不完全な内容の記事や情報が氾濫してしまう原因にもなっている事は事実。ただ、例えばiSP細胞の山中伸弥教授は、自らの研究よりも自分自身が広告塔になる事で、支援や理解の啓蒙活動に努めたけれど、中々必要な情報は浸透せずに、曖昧な話や楽観的な話ばかりならず、誤解すら拡散される状況になったくらい。枡氏は有名人ではあるけれど、それでも中々難しい仕事だろうと思いますが、でも是非結果を出して、その難解な内容を理解する事は出来なくても、客観的な判断や論理的な思考が出来るような「癖付け」を、是非視聴者に芽生えるようにしてほしい。

そう言う意味では、どんどん複雑化していく社会を見ると、枡氏のような立場の人は別に科学分野だけでは無く、全ての分野で必要では無いかと強く感じます。特に最近問題になっている人文系関連の話題だと、有名な大学教授とかジャーナリストの人が多数いらっしゃるけれど、どうも大きなバイアスが掛かっているような発言が多いと感じるし、理系の話題では無いから有る程度情緒的な要素も仕方ないのかもしれないけれど、それを通り越して感情的な言い回しとか、論理の組み立てが成されている場合が多く、いゃいゃ、本当にそんな意味なのかと首をかしげたくなることが殆ど。昔だと、特にNHK辺りだと、それなりに権威のある学者さんとか大学教授とかがゲストやコメンテーターとして出演して、放送の中で説明とか補足していました。ただ、そう言う人たちって、知識や経験は十分なんだろうけど、学生では無く一般人に向けて簡潔に説明する、と言う能力に関しては失礼ながらあまり気にされないので、どうしても専門用語が続いたり、多少言い回しが冗長になったり、放送時間など気にしなくて詳細に説明しようとする。放送局としては、それは拙い状態なので、そうなると知識や経験よりも、自分達の「枠にハマる人」を重用する様になってきたのが、最近の状況だと思うんですよね。

池上彰氏は、NHKでの実績もあるし、そう言う意味では満遍なく必要な情報は簡潔にまとめて時間無いに治められる、放送局としては「理想的な人材」だったことは言うまでも無いでしょう。勿論、池上氏自身もそれなりに能力のある人であることは確実だろうけど、NHKという大規模な情報組織体が背景にあったから得られたものも、助けられたことも多かったはずで、それが民放の番組で同程度のものが得られるかどうかは疑問。私くらいの世代だと、池上彰氏的な存在としては、NHKアナウンサーだった鈴木健二氏が真っ先に浮かんできます。「面白ゼミナール」なんて、鈴木氏のまさに「立て板に水」のしゃべりが番組の看板だったけれど、逆に完璧すぎて恐いくらいだった(笑)。あれだって、ご本人の努力や資質は勿論だけれど、やはり番組として情報をしっかり収集整理して台本があったからなわけで、そう言う意味では孤軍奮闘とならずに、業界全体の意識改革みたいなものを桝氏には期待したい。

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