「多拠点生活」で有名な、ジャーナリスト佐々木俊尚氏の新聞記事から。私が「在宅勤務」を始めたのは2005年からなんですが、最初の2年間は「お試し期間」として、通勤するために当時借りていたアパート(会社とは電車通勤でドアツードアで30分位)で週2日の在宅勤務から初めて、1年後には週4日の在宅勤務を始め、2年過ぎたところで地元の浜松に戻って、週1回金曜日に横浜のオフィスに新幹線通勤をする生活を始めました。そう言う意味では、佐々木氏よりも前に「多拠点生活」を始めたと言っても良いかも(笑)。
コロナ禍のリモートオフィス拡大もあって、先ずは在宅勤務が普及し、そこから在宅して居る自宅を通勤に便利な都心から郊外や地方に移す動きが大きくなり、今では採用に当たって地元勤務を有る程度担保する企業も有るみたいですね。「転勤」ではなく、「リモート」ならば、人は動かなくても職場は自由に日本国内のみならず、場合によっては世界中に移せるかもしれない。実際私も、在宅勤務を始めた当時から仕事の相手の7割8割はアメリカだったし、そうなると一番忙しい時間帯は日本の早朝とか夜から深夜になりますから。職種や仕事の内容に恵まれていたこともありましたが、今でも感謝しているのは2年間のトライアル期間を会社が提案して実施させて貰えたこと。「駄目なら元に戻せば良いし、別の方法を探せば良い」という大らかな了解もあって、あの2年間の準備期間というか助走期間が有ったことが、今日まで20年近く在宅勤務・リモートワークを続けてこられた最大の理由になると思います。
そう言う経験をしているからだと思いますが、リモートワークとか地方への拠点移動、あるいは複数箇所の拠点を移動しつつ仕事や生活をする「多拠点生活」を希望する話もよく聞くのですが、自分の経験から思うのは「まずは、他拠点生活をしてみたら」という事。それも、一気に自宅を移動させるのでは無く、例えば最初は週末だけ都心から郊外に移動して生活をしてみて、そこでリズムが掴めたら今度は平日も組み込んでみる。最初は土日に移動してみて、そこから例えば土日を金土日とか木金土日とかにしてみる。そこで、その拠点先が気に入れば本格的に自宅を移動してみてもいいし、逆にその拠点先をシェアハウスとかシェアオフィスにして、自分の都合の良いときに利用する「別荘」的感覚で複数拠点生活をしてみるのが良いんじゃ無いかと。だから「多拠点生活」の前に「他拠点生活」をしてみたら、合う・合わないも含めて検証出来る気がします。それに、「多拠点生活」をすると言うことは、移動するためのお金だけで無く、その拠点先での生活費や維持費も大きいわけで、それがどの様に必要なのか事前に確認するためにも、まずは「他拠点生活」というトライアルが良い気がします。
もう一つ間違えちゃいけないのは、「拠点移動したから仕事が出来るようになる」訳じゃ無い事。やはり、その人それぞれのやり方とか個性とかもあるし、仕事の内容も大きい要素になりますから、そこは向き不向きは当然生まれます。私の仕事は、極端な話ノートパソコンと通信環境さえあれば何処でも出来るから、それこそ自宅と横浜オフィスだけでなく、旅行中のホテルからだって仕事をした事もあるし、海外旅行中でも同様。言ってみれば、軽く出張して居るみたいな感じなんですよね。それを「多拠点生活」と言えるかどうかは分からないけれど、「多拠点活動」くらいの事は言っても良いんじゃ無いかと。ところで、一箇所に籠もって仕事に集中する事が好きな人も多いわけで、それと比べてあちこち移動する事は集中力不足になったり、余計な仕事や準備が増える無駄が増えるだけでは、という考えもあると思います。多分、そこを上手く出来ないことが多拠点生活で失敗する理由の一つだと思いますが、個人的に「多拠点生活」が成功するには、移動する事を前提に自分の仕事をユニット化するというか、期限までに完了する・目処を付ける、自分が出来ない場合に代替して貰える人や仕組みを準備しておく、仕事から抜け出すための移動ではなく何か新しい発見や知見を見つけるための環境変化くらいの気持ちで移動する、みたいな考えを持つことが出来れば、結構ハマる人は多いんじゃ無いかと私は感じます。 そう言う意味で、他拠点→多拠点を支援するようなビジネスって、2022年当たりに流行るんじゃ無いだろうか。
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