漫画家の水島新司氏が10日に無くなっていたというニュースは、中々ショックなニュースでした。年齢的にも、馴染みのある有名人の訃報に触れることがどんどん増えていく頃なんですが、水島氏の作品は好きな物が多かったですからねぇ。代表作という意味では、「ドカベン」や「あぶさん」なんだろうけど、最初のヒット作である「男ドアホウ甲子園」は、その内容も走だけれど画の雰囲気が好きでファンになった記憶があります。当時、母親が喫茶店を経営していた事も有って、毎週週刊誌や週刊漫画誌を購入していたので、「サンデー」「マガジン」「ジャンプ」「チャンピオン」「キング」と、毎日のように読みあさる日々でしたから(笑)。
氏の代表作でもある「あぶさん」は、多分日本で初めてじゃ無いかと思うのだけれど、現実世界に合わせた設定で物語が進むんですよね。だからプロ野球が開幕すれば、あぶさんの中もシーズンが始まり、優勝決定戦も同時進行みたいな感じで進む。確か実際の試合内容を反映した話の回もあったはずで、それもその試合から数週間後位に掲載されたんじゃ無かっただろうか。それ故に、途中から話の飛躍が過ぎるような印象を受けてしまったけれど。今増えに考えると、逆VRの世界観みたいなものを感じるなぁ。いゃ、ノンフィクションのストーリーに実在する人物や話題を取り込む事自体は決して珍しく無いけれど、現実のプロ野球の流れと違和感無く「あぶさん」とその周りの人物が溶け込んでいて、本当にあぶさんが居たような印象があったしなぁ。
日本で「野球」というスポーツは、本家のアメリカ寄りもある意味人気のスポーツで、国内の競技人口でみると、サッカー(436万人)の次(384万人)位の規模らしいけれど、プロスポーツの中ではやはりプロ野球(NPB)が一番印象としては大きく感じますね。今でこそ、試合中継は殆どがBS/CSになってしまったけれど、自分の子どもの頃は巨人戦は必ず地上はで放送されていたし、NHKはパリーグの試合を放送していた印象がありますから。ただ、チーム数こそ最近は独立リーグ等も誕生して増えてきたけれど、Jリーグ等の階層構造と比べると、プロ野球はセ・パ12球団だけという、数の上では少数派なので、個人的にはそこが脆さでもあるように感じるんですが。ただ、水島氏の漫画が全盛時代だった、1970年代から2000年代手前くらいまでは、やはり「スポーツ」と言えば「野球」という時代でしたからね。サッカーを代表する作品「キャプテン翼」の連載が始まったのが1981年かららしいので、その頃から徐々にサッカー人気が大きくなって、Jリーグスタートの1992年移行には、今度はプロスポーツとしてのサッカー人気が拡大し、それなりに地位を確立したと言えるのは、1990年代後半からだと思う。ワールドカップ初出場が1998年ですから、2000年代に入ってサッカーとプロ野球の人気交代が生まれたと行って良いんじゃないだろうか。そう言う意味では時代を強く反映した漫画だったからこそ、当時を知る人間で無いと中々その物語に感情移入しづらいかもしれませんね。でも、水島氏の漫画の価値がそれで下がるわけじゃないけれど。
「スポーツ漫画」というのは、その種目が日本伝統の「武道」に通じるというか、今で言うと虐待とも言われてしまうような、「根性」とか「スパルタ」みたいなものが結構相性が良くて、「巨人の星」なんかも野球漫画というよりは、そう言う「根性物語」みたいな印象の方が強い気がします。まぁ、当時の野球というスポーツ自体がその状態からそんなに遠くない場所に居たことも事実なんだろうなあ。だから最初に「キャプテン」を読んだとき、余りに現実的すぎて拍子抜けした印象があったけれど、だからこそ飽きずに長く読み続けられたのかもしれない。そこに、さらに現実的な要素を膨らませたのが、「あぶさん」等の水島野球漫画だったんじゃ無いだろうか。「漫画」という分野で、一つ新しいジャンルに近いものを創り上げた作家さんの一人と言って良い気がする。それだけに、もっと色々な作品を読みたかった気持ちも、正直ありますねぇ。どうか天国で次の作品を生み出して欲しい。合掌。
0 件のコメント:
コメントを投稿