昨年の新型コロナウイルス感染拡大の初期に、世界的に流行する中で何故か日本人の感染者数が少なく、色々な理由が言われましたが、その「ファクターX」の正体(と、思われるもの)が特定されたという論文。そこまでで終われば良いのですが、その正体が現在流行している「デルタ株」に対しては効果が低く感染拡大の原因になっているという事も確認されて、一寸残念な内容。しかし、いま発生している現象に関して、ロジカルに説明できる発見だけに、もう少し時間は掛かるかもしれないけれど、デルタ株対応や、将来的に更に登場するであろう変異株に対しても、有効な対抗手段が期待出来るんじゃ無いだろうか。
私は理系でも電気系、情報系の方面なので、こう言う生物学的、化学的方面はとんと苦手ですが、概要で説明されていることは何とか理解出来る程度。それを「ファクターX」と称して良いかどうかは分からないけれど、日本人の約6割が保有している「HLA-A24」という白血球抗原が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質に強く認識されるため、それに対しての抗体反応が出やすいのに対して、そこから派生した変異株はその「HLA-A24」から逃避する傾向があり、従ってデルタ株が日本でいま流行している、と言う内容で、これまでの経過を一番よく説明しているように感じます。更なる疑問は、その「HLA-A24」による細胞免疫の資質が、日本人以外の田の国の人達、例えば台湾とかシンガポールとかオーストラリアとか、日本同様大きな感染拡大を当初経験していない国々ではどうなのか、その辺りが分かると、さらにここ1年半の感染流行の状況が良く説明出来ると思います。
この認識されづらい部分がウイルスの感染力を増強する変異にも繋がると論文で指摘されていて、そうなるといまの流行拡大はもう少し続きそうな雰囲気ですよね。やはり、感染拡大のスピードを可能な限り抑えつつ、やはりワクチン接種で人間の耐性強化を進めて力ずくで押さえ込むしか、今は方法が無いのかなぁ。ただ、これまでよりも一層新型コロナウイルスの特性が分かってきたのだから、ここで次のステップに繋げて欲しいですよね。
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