2021年7月20日

(Not) Fun to Drive

オリンピックのトップスポンサーであるトヨタが、オリンピック関係のTV-CMを国内では見送り、通常のCMに差し替えるらしい。 理由を特に説明為ていないが、自社のCMに出演している参加選手に対して批判が高まったり、企業イメージが低下すると判断したらしいと記事は伝えているけれど、帰って逆効果なのでは。

TV-CMへの出稿は、その企業がイメージ的にもビジネス的にも利益になると判断してするものだから、利益にならないとか逆に不利益になる様であれば、その判断を修正することは当然だと思います。でも、4年に一度の大舞台のために、決して安くないスポンサー料を払って獲得した地位を最大限に利用しないというのは、株主的にはどうなんだろうか。記事を読む限りでは、「国内でのTC-CM出稿中止」と書かれているので、海外ではしっかりと"TOYOTA"のTV-CMが流れるんでしょうね。トヨタが例えばアメリカの企業とかなら、何らかの配慮を日本国民に対してしたと考えられるけれど、日本のトップ企業のこの判断はどうだろうか。

トヨタほどの企業であるなら、私はちゃんと企業としてオリンピックやそこに関わる人達の思い・熱意というものを具体化したTV-CMを準備していたのだろうから、それを自信を持って提供するべきだと思う。これがスポンサー撤退、全ての権利を放棄すると言う方がまだ理解出来る。TV-CMを差し替えても、スポンサーとして大会関係車両の提供はするんだろうし。広報担当執行役員は「いろんなことが理解されない五輪になりつつある」とオンライン取材で答えたらしいけれど、だからこそ最大の支援者の一人である企業として、その誤解を払拭させる義務もあるのでは。「五輪」というブランドを利用するのであれば、そこにフリーライドするだけでは無く、それを守る義務も生まれると思うのだけれど。

トヨタのスローガンで「Fun To Drive (ドライブする楽しみ)」があったと思いますが、それって単に「車」という移動手段を操作する「楽しみ」だけで無く、移動する事により、その道中であるとかゴールで得られる様々な体験や発見も含めた「Fun」で有るんじゃ無いだろうか。それは、この東京オリ・パラという舞台の中を、いろいろな形で経験していく多くの人の気持ちにも添うことだと思うし、そういう部分を遡及していくことは、そのトヨタの理念と一致しているからトップスポンサーになっているはず。その努力を放棄する、と取られても仕方ないわけで、それってかなり極端な言い方だとは思うけれど、「(Not) Fun to Drive」と言っている様な気もします。スポンサーだから、自社に対して不利益になる事は容認できないという立場は理解出来るけれど、オリンピックトップスポンサーという立場は、同時に「オリンピック」という最高の舞台をいかに理想に近づけて行く努力をするかという義務みたいなものもあると思います。言い方は悪いけれど、それをトヨタは放棄したと取られても仕方ないんじゃ無いだろうか。それが残念。

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