防衛省からの講義に対して、AERA dot.が掲載した「見解記事」。この中で一番注目されるのは、
この点について事前に防衛省とシステムの委託先の会社に見解を求めましたが、明確な回答は得られませんでした。
という「明確な回答は得られません」の部分。
上記は、その公開記事の画面ですが、公開日時は「2021年5月17日 17:03」となっています(2021年5月20日13:00現在の画面キャプチャー)。接種予約開始は、同日の11:00からなので、その間6時間のギャップがあります。実際に予約作業を試して、記事にして公開するまでにどれくらいの時間が必要かは分からないけれど、仮に11時から12時までの1時間操作して情報収集をし、公開時刻の1時間前までに原稿を完了して社内レビューなどを経て公開されるとすると、実質の作業時間はさらに短く4時間となります。どの時点で、防衛省や開発企業に問合せをしたか不明だけれど、朝日新聞やAERAの場合は「4~5時間程度の時間が有れば、明確な回答を準備して返信するに十分」という考えなんだろうか。
言葉尻を捉えるわけではないけれど「明確な回答は得られませんでした」というのは、実は実際はどうだったのか何も言っていない、意味不明な言い方なんですよね。つまり「回答はあったが、自分達が満足する明快な回答ではなかった」とも取れるし、回答自体がなかったとも取れる。さらに、そもそも回答を要求するのであれば、17日の何時に質問を送付して、その時に何時までに回答が必要と言ったのだろうか。こう言う場合、普通は相手の広報部門宛に送付して、それを広報から社内担当者に回し、その返事を広報がレビューをしてから返信するものだと思うんですよね。その場合、回答作成に時間が掛かると判断すれば、期限延長要求を防衛省側はするだろうけど、それだって「明確な回答」にならないとAERA側は言えてしまう。ネットには、事前に防衛省に取材をしたという話も書かれているけれど、それなら尚更ちゃんと防衛省側の見解を取材して掲載するべきでは。それを「明確な回答が無かった」から自分達の判断で記事にしたという事は、一件相手の意見を尊重するような態度を見せながら、自分達の都合で記事にしましたと言う事を証明している気がする。
AERA dot.同様、毎日新聞も「公益性があるから記事公開をした」と言っているようですが、その「公益性」って何なんでしょう。確かに公の組織が運用しているシステムに問題があることを示す事は「公益性」の範疇に入るかもしれない。でも、それが直接人命に関わるシステムとかでもないわけですし、逆にその不具合を公開したが故に、架空予約が作られて多くの人のワクチン接種機会が奪われることの方が「公益性に反する行為」じゃないだろうか。結局は、メディア間のスクープ競争で、何処かが出せばうちもと言う事なんだろうけど、気安く「公益性」とか言っているけれど、結局は自分達の「利益優先」の行為だと思う。しかも、防衛省側も一度指摘された不具合は何らかの対応をしないといけないので、可能な範囲は修正すると言えば、「それ見たことか」とそれが自分達の公益性の証明のようにメディアは言っているけれど、それは違うと思う。それを悪用する可能性が生まれたから、対応せざるを得ない状況な訳で、そう言う状況を作り出したのは、メディアの不適切な報道姿勢だったことをもっと自覚するべき。「公益性」を言うのであれば、メディアは過去に出した誤報や虚報、あるいは不適切な行為や内容に関して、何度でも訂正や謝罪をするべきでは。小さな囲みの「訂正記事」を出して済ませているのでは、一度損なわれた「公益性」は回復できないと思う。
[2021年5月22日追記]
こちらのtweetに掲載されている、加藤勝信官房長官の会見の動画ですが、「2021年5月17日13:20」に問い合わせがあり、期限を「同日15:00まで」としたんですね。予想よりもさらに短いわずか100分(1時間40分)で、重要な内容に関しての「明確な回答を求めた」事になります。逆に、今後AERA dot.(朝日新聞出版)に何か問合せする場合には、100分の余裕があれば必ず回答してくれることになるんですね! (笑) また、期限までに回答したのかという後半の記者の質問に対して、加藤官房長官は明言はしていないけれど、そう言う虚偽予約の行為があったので厳重に申し入れをしたと回答しています。これをそのまま理解すると、「明確な回答」以前に防衛省は「回答をしなかった」と言うわけで、となると釈明記事の見出しや内容から受ける印象と、また違ってる。結局AERA dot.は、自分達の取材内容が否定されないように、現実的に無理な猶予を指定して「アリバイ工作」をしただけ、と言う事になりますね。結局、釈明記事が自らの恣意的な行動を証明する事になるという皮肉。
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