2021年4月27日

ブリングアップ(Bring-up)

河野太郎大臣のブログ記事から、ワクチン接種の状況について。この人に対しての評価は、勿論人それぞれ異なるだろうし、良い点・悪い点色々あると思うのですが、この記事を読んで感じたのは、結構この人手堅いなと言う事と、案外総理大臣としての器も有りかな、と言う事。

何でそんなことを感じるかという理由が、記事に書かれているワクチンの接種方法なんですよね。一度に潤沢に輸入できるわけでも無いし、他国と比べて決して今の所恵まれた環境でも無いけれど、まずは手元あるものをいかに有効に利用して将来の接種環境のために対象者を選別し、そこから徐々に積み上げていっていざワクチンが大量に輸入されて利用可能となったら、一気に対象者を拡大できるように準備を進めていく。この考え方が、自分が関わってきた「診断プログラム」やそれに類するソフトウェア開発の考えに凄く近いから、親近感を感じるのかもしれません。

診断プログラムは、ハードウェアの機能を診断(テスト)する事が目的で、直接ハードウェアのポートやレジスターを叩く場合もあるし、例えばストレステストのように一種のアプリケーションの様な形でシステム全体を満遍なくどうさせるなど、結構特殊なソフトウェア。その為、新規のハードウェアを作るときには最初に利用されるというか、ハードウェアのデバッグのために要求されます。ところが診断プログラムとしては、正しいハードウェアがあって、それとは異なる点=故障箇所を見つけるものだから、まずは「正しい物の上で正しい動作をする」事を確認しないといけない。まさに「卵と鶏」みたいな関係で、その鬩ぎ合いが毎回発生するんですよね。とは言っても、どうしてもハードウェアが先に上がってくるから、ソフトウェアは確実なところから徐々に機能を追加したり更新したりして仕上げていきます。その最初の段階を「Bring-up Code/Program」という言い方を、私のところではしていました。強いて日本語に訳すると「始動確認コード」みたいな感じかな。

気持ちとしては、最初からちゃんとした者を提供して欲しいのは正直なところ。ただ、そう簡単にはそう言うものは出来ないし、急がば回れでは無いけれど、トラブルを最小限にして最短で結果を出すためには、まずは初めの部分を丁寧に検証・作り込みをして、そこで大きな問題は勿論、できる限りの問題・トラブルの種を積んでおけるかどうかで、その後の作業がおおきく変わるもの。ただ、実際の開発では全体のスケジュールが決まっている以上、しかも終盤製造とか時間の掛かる工程が控えている以上、とにかくスタートしたらどんどん進めたい。だから、本来時間を掛けて丁寧に進めるべき初期段階から、結構プレッシャーが来るものなんですよね。多分、我々が目や耳にする以上の批判とか圧力を河野大臣には届いているんだろうけど、そんな中でもゴールとなる「全員への接種を予定通り完了する」事を目的に、慎重に工程を進めていく気持ちの強さというのは、結構この人の強みかもしれない。諺に「始め良ければ終わり良し」が有るけれど、あれって事実だと私は思っています。最近のハードウェアの世界では、昔のように何度も作り直す時代は終わって、シミュレーションソフトの発達でハードの検証も出来るし、ソフトの検証も出来るから、プリングアップの出番はなくなって居るみたいですが、その意図というか考え方は変わっていないと思う。そんな、一寸昔の仕事を思い出させる記事ですね。

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