2021年4月14日

科学の逆襲

福島第一原発の処理水海洋放出関連して、朝日新聞にしては冷静な「トリチウム水」に関しての記事。 執筆者の藤波優記者、小坪遊記者は、二人とも朝日新聞科学医療部の記者さんらしい。

記事の内容は短く要点を押さえていると思うけれど、逆に言えば何で朝日新聞はこの程度の内容の記事をもっと早く書けなかったのか、と言う事。この程度の内容ですら社の方針に反している時期には書くことが出来なかったのか、と邪推してしまう。

記事にも書かれているけれど、今回の排出基準は国の基準である6万Bq/lをさらに下回り、飲料水基準よりも低い1500Bq/l。豊洲市場のベンゼン騒ぎの時もそうだったけれど、実際に処理水を飲むわけでも無いのだから、そこまで希釈する必要は無いと思う。精々6万Bq/lの半分とか1万Bq/lでも十分だと思う。ただ、そうなると風評被害が収まらないので、飲用水としても問題ないと言う部分まで落とさないといけないんでしょうね。まぁ、それに対しての反省というか、6万Bqの水を毎日2l飲んでも年間1m㏜と説明している当たりに、ちょっと科学部としての良心みたいなものを感じるけれど。でも、産経新聞では他国の例を図入りで解説していて、これを見るといかに福島台板原発の補完処理水のトリチウム量が少ないかよく分かります。


ところで、現在貯蔵されている処理水は約125万トンで含まれるトリチウムは900兆Bqとの事。これ1リットルの水は1kgだから、125万トンは125万リットル。そこから単純計算で、現在の補完されている処理水1リットル当たり7億2千万Bq/lという値になります。これを1500Bq/lに希釈するには、1lの処理水を48万リットルに希釈しないといけないわけで、これ25mプール一杯分位の量らしい。ちょっと気が遠くなりそう。それだけ、10年間という年月が長かったことを再認識させます。朝日新聞の意図は不明だけれど、記事の最後に書いてあるように、廃棄する処理水の管理や検査は厳密にやるべきだし、それを毎日正確に報道することが最大の風評被害対策になるはず。彼らが危惧する部分を報道することは自由だと思うけれど、事実は事実として真摯に対応した上で、疑念なりを伝えて欲しい。それがメディアの最大の仕事だと思う。

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