2021年4月5日

言行不一致

朝日新聞に掲載された、立憲民衆党の枝野幸男代表の記事。旧立憲民主党と旧国民民主党合流の時の課題の一つが、この「原発ゼロ」だったと記憶しているのだけれど、野党の時には「原発ゼロ」を言いつつ、政権を取ったら「原発ゼロ法案は作らない」とは矛盾しているのでは。

特に疑問を感じるのが、

つまり原発に依存しなくても、社会が成り立つことはこの10年間で証明された。

と言う発言。確かに東日本大震災後、日本の原子力発電は大きく抑制されて、その可動量は以前と比べて何分の一以下。震災以前はベース電力として、総発電量の確か1/3以上を賄っていたと思うけれど、現在は全体の数%位。その為に、LNG等の火力発電が発電量の多くを占めているんですが、LNG不足で日本中の電力供給がこの冬には危機的状況にあったことは忘れているのだろうか。あるいは、送電分離の影響で自由価格の電力供給会社が、そのままではとんでもない電気使用料金を請求する事態になったことも忘れたのだろうか。仮に、再生可能エネルギーで賄えるという甘い考えならば、年間何千円、何万円と電気料金に付加されている再エネ促進賦課金をもっと増やしても良いという考えなんでしょうね。

世界的潮流を見ると、一時は自然エネルギーに回帰したけれど、そのコスト高や発電の安定性等も有って、再び原子力発電に戻りつつあります。それも、既存の大規模発電設備から、よりサイズの小さな「SMR ( Small Modular Reactor / 小型モジュール原子炉)」を採用することで、安全性を高めつつエネルギー需要に対応しようとしている。このSMRでは、既存の原発では必須で福島第一原発事故の原因の一つになった「冷却水」が、発電規模が小さいために不要になるなど、安全性やコストダウンも大きく期待出来るし、なんと言っても出力の少なさ故にその地域にあった発電が期待出来るから、リスク分散も可能だろうし、万一災害があった場合も広範囲の地域が影響するのでは無く、より小さなメッシュでカバー出来るメリットも。枝野氏も記事の中で「一旦廃炉と言えば電力会社が困るから、廃炉しても困らない道筋を付ける必要が有る」というようなことを言っているけれど、その回答の一つがこのSMRと言っても良いのでは。

以前も書きましたが、日本には先の大戦時代に二発の原子力爆弾が投下されて「原子力アレルギー」があったところに、さらに今回の福島原発の事故が発生してそれが多くの人にとって堅固な「拒否感」に変わったことは事実。ただし、同じ震源地に位置して同じように津波被害に遭遇した、福島第二や女川発電所は、震災にも津波にも耐えて、水素爆発も発生せずに今に至るわけで、その知見から全国の原子力発電所に対してはより厳しい震災対応が適用されているはず。そう言う意味では、東日本大震災時よりも安全性は高まっているわけで、それを無視して「廃炉・廃止」と言うだけなのは、少なくとも政治家としては無責任だと思う。電力会社に既存原発の廃炉費用を捻出させつつ会社を維持させるのであれば、SMRのような次の世代に対してのシフトチェンジ出来るような施策を言う事も、本当に将来の政権奪取を意図しているのであればその発言をするべきでは。何か都合の良いことだけを言っていて、いざその立場になると「あれは野党だから」とか言って、また前言撤回、言行不一致内閣が出来そう。

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