2021年3月4日

見出し詐欺

時事通信の記事ですが、例によって見出し詐欺とも言うべき内容。見出しでは、

ワクチン接種の60代女性死亡 新型コロナ、因果関係は不明―厚労省

と成っていて、「あれ、アナフィラキシーショック?」と思ったんですが、記事本文を読んでみたら、

 厚労省によると、死因はくも膜下出血と推定される。接種との因果関係について、報告した医療機関は「評価不能」としている。

となっていて、をぃをぃ、毎度の「見出し詐欺」じゃないかと、小一時間。全然意味が違ってきますよね。見出しを見ただけだと、ワクチン接種の副作用かと思うのに、実際にはくも膜下出血による死亡とでは。記者が、ワクチン接種によりくも膜下出血が誘発された、という因果関係の根拠を持っているならまだしも、でも記事を読む限りでは功労者が認めた分けでも無いし、記事の最後には 「幅広い事例を集めるため、接種と関連がないものも含まれる可能性がある。」となっていて、それなら最初に言うべき話は「事例の一つとして」そう言う報告があった、と言う話。元の見出しでは、ワクチン接種と新型コロナに何か関係ありそうだけれど現状では不明、と思われてしまう。それって、誤解を誘発する言い方ですよね。本来見出しを付けるとしたら、

ワクチン接種の60代女性くも膜下出血で死亡 、因果関係は不明―厚労省

と言う言い方が、私は最も記事の内容を要約していると思うのだけれど。 

少し前にTLで見てビックリしたのが、新型コロナウイルスが直接の死因で無くても、死亡時に陽性が確認されると、その死亡例は「新型コロナウイルスによる死亡者数」にカウントされるということ。例えば、肺炎とか血栓で死亡したというのであれば、新型コロナウイルスの影響も想定されるけれど、例えば老衰であるとか極端な例では交通事故死であっても、その人から陽性反応が確認されたら「コロナ死」となるのは、現実を凄く歪めていると思う。勿論、クラスターの追跡調査などでは、実際の死因とは別に陽性かどうかが重要だから、調べることに意味はあると思うけれど、それによって死因まで変わってしまうのは事実を歪めていると思う。本来ならばメディアが、「実際の感染拡大を誇張するもの」とか「治療計画を歪める」とか、批判して事実を明らかにするべきだと思うけれど、でもメディアが望むのは多分より多い数字、より危険な兆候なのかもしれない。

もっとも、メディアのこう言う行為は新型コロナウイルスに始まったわけでは無くて、昔から自分達の「真実」のためには、都合の悪いことは目をつぶってきたもの。記事本文がメディアの「商品」だとすれば、見出しはその商品の「商品名」であり「内容説明」に相当するもののはず。普通の商品ならば、そこに事実誤認を誘発するような表現や表記が有れば、修正が要求されるし、著しい場合には販売停止だってありうるでしょう。でも、そんなことにはお構いなく、逆に「見出し詐欺」的手法は、どんどん酷くなっていくばかり。さらに酷いのは、確認のために本文を読んでみても、感じな部分は有料記事部分に含まれているため、そのままでは真偽の判断が出来ない場合が多いこと。勿論、メディアも私企業だから何らかの形でビジネスモデルを作る事は問題ないけれど、そのビジネスモデルが読者(=消費者)の誤解を前提に作られているとしたら、それは犯罪とも言える行為なのでは。提供された情報の内容を判断するのではなく、その「真偽」を判断する時代になったと言える気がします。振り込め詐欺と同じで、まずは最初に「疑ってかかる」事が、今のメディアリテラシーで一番重要なことなんですよね。そんな状態に、メディア自身は納得しているのだろうか。

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