2021年3月31日

一太郎禁止

相次ぐ法案ミスの対策として、省庁の中で使用されているジャストシステムのワープロソフト「一太郎」を使用禁止にして、Microsoftの「Word」に統一するようお達しが出たと言うニュース。 その意図は理解するものの、根本原因はそこじゃ無いだろうと、小一時間は突っ込みたい気もします。

一太郎とWordが併用されている理由は幾つかあるとは思うんですが、もともと英文用文章作成ソフトであるWordが、初期の頃は(今でも?)日本語編集に制限や不得手な部分があり、そこに一太郎として「日本語のワープロ」として存在感がありました。ただ、猫も杓子も「Word/Excel/PowerPoint」の時代が少し前にあり、その時から一太郎も徐々に置き換わっていったんですよね。昔は、それぞれのソフトが生成する文章ファイルのフォーマットが異なっていたので、それ用のソフトがないと利用出来ない時代もあったけれど、RichTextにしたり、互換性を維持しつつ他アプリのフォーマット対応をしたりと各社の努力もあって、今では殆どのアプリで殆どのファイルが扱えるようになってきています。ただし、100%の互換性を保障しているわけでは無いので、どうしても他フォーマットファイルを読み込むと、段組とか段落とか微妙にずれるんですよね。それがあるから、提出用フォーマットを指定する事もまだまだありますし。だからこそ、日本語中心の法曹界などでは、未だに一太郎がメジャーらしい。確かに、日本語の縦書きの時には、単に縦に文章が書けるだけで無く、段落付けとかスペース設定とか、横書き文化のワープロソフトとは一寸違う要素が要求されますし、そういう部分はWordではまだまだ物足りないのも事実。

最近では仕事でMicrosoft365が会社指定アプリとなり、以前は個人的に使用していた一太郎も、ライセンス更新やバージョンアップすることも無くずつと塩漬けのまま。私の場合は、英文文書の作成の方が多いことも有り、そう言う意味では一太郎よりはWordの方が有利ですし、相手から送られてくるのは大体はWordですし。また、以前はちょっとしたメモみたいなものでもワープロで文書ファイルを作成して提出していたりしましたが、今はWeb上で処理されることも多くなりましたから、そう言う必要性もかなり減ってきています。そう言う意味では、「一太郎 vs Word」と言うよりも、「ワープロ vs オンライン」みたいな構図になってきてもいます。作成機会が減れば、当然そこに占めるアプリの種類も限定されてくるでしょうし、そうなるとメジャー所が有利になるのが市場原理なんでしょうね。実は、私は仕事でずっとタグ形式の文章作成ソフト(LaTexでは無いけれど、あんな感じのソフト)を使用していたので、そっちでの文章作成の方がいまだに得意。だから、この記事なんかでも入力用のエディター画面でちょっと変な具合に段組や段落が崩れると、HTML画面に切り替えて直接タグを弄って修正した方が速かったりします(笑)。まぁ、仕事や環境によって、向き不向きはあるし、目的に一番あったソフトを使えば良いのだけれど、コストや繁雑さ等の理由から、一つの目的のために複数の同種のソフトを使い分けることは中々難しい。

閑話休題。元々の法案ミスの話も複数の要因が有るわけで、本当に問題で修正するべき本案本文のミスは全体の中でも僅かで、その多くは本文以外の部分であったり、中には文章の先頭が一段下がっているだけという、内容の問題では無く見た目の不統一だったりと、わざわざその場で修正して再提出することが必要なのか疑問を感じるものも。内容に変更が加わるもので無い、そう言うコスメティックなものに関しては、「最終版では〇〇を××に形成修正したものを正本とする事を条件に承認する」みたいな形で、そのまま内容を審議すれば良いだけのことだと思う。あるいは、一般の書籍や辞書でも誤記や誤植があっても、よほどの事が無い限りその場で修正せず、正誤表を作成して対応するとか、次回改定時に対応しているわけで、それに類する対応でいいんじゃ無いだろうか。流石に法案だと「字改定」が何時あるか不定だから、正誤表対応が現実的かな。本体に対して、「どれどれの正誤表を参照」みたいな文章を最後に入れて、その正誤表の部分を適時更新していけば必要十分だと思う。ただし、それは法案本文以外の部分に関してのみと制限する、と。単にその場凌ぎの対応では無く、現実的で効果的な対策を考えるべきだと思う。

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