2021年3月1日

燃料棒搬出

10年前の3月11日に発生した東日本大震災を前にして、とても明るいニュース。福島第一原発の3号機の燃料貯蔵プールから、使用済み核燃料の燃料棒取り出しが完了したというニュース。 取り出し作業は、元々は平成26年から始まる予定が、放射線量の状況から5年遅れの平成31年4月から始まり、予定通り今年度内に完了したというのは良いニュース。

勿論、課題は、まだ1000体以上の燃料棒が残る1号機、2号機の処理ですが、この3号機で得られた経験や知見は必ず次の作業に生かされるわけで、そう言う意味では今回の作業完了は大きなマイルストーンであることは確か。勿論、3号機よりは、2号機、1号機の状況の方が、より深刻で複雑だと想定されるから、今回よりも時間は掛かるだろうけど、今後はさらに1号機、2号機に集中出来るだろうし。ただし、溶融核燃料の取り出しは、これまで以上に困難な作業になるでしょうね。

福島第一原発に関しては、処理水の処分問題が最近は少し賑やかだったんですが、正直具体的な動きが見えないのが不満なところ。現実的な解決策としては、必要な再処理をして希釈して海中放水するしか無いわけで、ゴールは決まっている話。だから、そこに至る工程をちゃんと決めれば良いだけの話しのはずなんだけれど、未だに「処理水」を「汚染水」と予備不安を煽る一部マスコミや団体の為なのか、政府の腰は重い感じ。個人的には、今回の3号機年利要望取り出し完了を一つの切掛にして、処理水問題も具体的な計画と作業のスタートのトリガーにするべきだと思うのだけれど。

さらに今年の冬は、寒波による電力不足という具体的な危機にも遭遇したわけで、今のように原発をほぼ停止しているために、基準となるベース電源を高コストで供給に不安のあるLNG発電やその他火力発電に頼り、一方で自然環境に大きく依存する再生エネルギーの占める割合を増やしていくのは、単なる無策以前の問題だと思う。そう言う大きな転換点になりうるような、今回の一つのマイルストーンだけれど、メディアでの取り上げ方も小さく、何となく彼らの意図が透けて見える感じも。着実に復興している福島や東北を、もっと真摯に見ていかないと。

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