2021年2月14日

署名の重み

森氏の一連の発言に対して、再発防止など求める署名が13万件を超えるまで集まったと報じるNHKのニュース(記事)。 「13万件」と聞くと「凄いなぁ」と思うけれど、でもその署名がインターネットの「change.org」で行われたとなると、「なぁーんだ」で終わってしまう。誰でも、何回でも「署名」出来るシステムですから、極端な話一人が13万の署名を投稿することも可能ですから。

少し前に、愛知県の大村知事リコール署名の騒動があり、40万件を超える署名が集まったけれど、そのうちの30万件以上が不正な物として認定されて問題になりました。確かに、八割を超えるような不正署名は問題だけれど、それでもあの署名は実際に人が氏名を書いていたものなので、残り何万人という人の署名は「生きている」と言って良いでしょう。その署名活動が、結果的に効力を持つかどうかは別にして、何万人という人が賛同したと言う事は「事実」と言って良いと思います。一方で、インターネット上の「署名サイト」は、個々の書込者を区別しているわけでも無いし、同一IDから複数の書込があったかどうかも確認していないわけで、書き込まれた署名の数は、必ずしも賛同者の数とは言い難い。強いて言えば、その署名目的となった事柄が、多少なりとも世間のトレンドにある、と言う事くらいしか分からない。と言うか、それすらも疑わしいと感じられるのが、最近の傾向ですよね。せめて同一IDからの複数署名を禁止すればまだしも、仮にそう言うフィルターがあったとしても、インターネットのID等は幾らでも生成可能ですし。

インターネットがブームとなる黎明期、会員登録とか懸賞応募とかで自分のメルアドを登録するときに、所謂「捨てアカ禁止」というルールがありました。例えば当時なら、NiftyとかBiglobeとか、特定のプロバイダーに登録して固有のIDを使用するのなら問題無いけれど、当時ならYahooとかで幾らでも自由に登録できるIDを使用しての登録は駄目というもの。その後、Yahoo等のパブリックのID登録がそれなりに制限を設けたり、個人でドメイン登録して幾らでもID生成できるようになると、そう言うIDでも認めざるを得なくなってきて、それが今のような状態にも繋がるわけですが。それこそ、例えば署名時には自分のマイナンバーを使用して、「一人一回限り」を証明しないと無効になる、位のことがそのうち出てくるのかも。逆に、そう言うスクリーニングが可能になれば、今の手書きで集める署名活動もネットでも可能になるかもしれない。只、韓国では確か全国民が持つID番号をネット利用時に登録するようになっているのに、それでも成りすましが生まれると言うくらいイタチごっこの世界でもあるので、日本では余り意味を持たないのかもしれないなぁ。

NHK自身が、ネット署名の無意味さを理解してこう言う報道をしているのか、理解していないのか分からないけれど、無邪気に「これだけ集まりました」なんて言う報道をするから、同じような事をやる人がいつまでたっても出てくるんでしょうね。それに、自分に不都合な物なら取り上げないだろうし。例えば、「受信料撤廃」みたいな署名活動をして、それが10万人超えたら、NHKは今回の様に取り上げるのだろうか。多分、100万件、1000万件集まっても、その時は報じないだろうし。本来なら、ネットワークという新しい社会基盤に即した、手軽で信頼出来る仕組みが作れるはずなんですが、安易にそれと似て非なるシステムが有名になってしまうと、本家のシステムが登場しても評価されない無くなってしまう。結局は、「署名活動」そのものに対しての信頼性が失われていく切っ掛けになるような気がしますね。

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