2021年2月20日

審判員不足

今年のSuper Bowl LV で、発の女性審判として試合を裁いたSarah Thomas氏に関しての記事。記事の中では、一件男性しかいないフットボールの世界に、初めて女性が大きな一歩を記したというような論調に感じますが、実はアメリカでも日本でも女性のフットボールチームもあるし、審判員もアメリカでは多くの女性審判が活躍しています。ただ、男性・女性比は、大きく男性側に傾いていることは事実だけれど。ただ、今回Sarah氏がSuper Bowlに出場するため、審判のポジションの名称で「男性的」な名称の一つ"Head Linesman"が"Down Judge"に変更されたりしているので、決してNFLやアメフトの世界が硬直化している世界では無い。カレッジフットボールではあるけれど、女性選手が男性選手に交じって出場することも、徐々にではあるけれど生まれてきているわけですから。

で、今回自分が感じるのは、その女性進出というよりは「審判」という事について。どんなスポーツでも、予め定められたルールに従って個人同士、チーム同士で競い合うのが「スポーツ」だから、そこにはそのルールを判定する「審判」は絶対必要。中には、審判がプレー中存在せずに、選手や参加者の自己申告だけで成立しているスポーツもあるんだろうけど(ゴルフがそれに近いのかな)、それでも「審判員」は殆どの場合で必要。アメリカなら、NFL、MLB、NBA、NHL等のメジャースポーツ、日本ならプロ野球、Jリーグ、Bリーグ(バスケット)、Vリーグ(バレーボール)位までなら、スポーツ界の規模も大きいし、選手やスタッフだけでなくファンの数も多いから、そこからその競技の審判員を目指す人も多いと思うけれど、例えばフットボールのように日本ではマイナースポーツの場合、審判員不足というのは結構慢性的かつ深刻な問題だったりします。

どのスポーツの審判員制度でも、選手としての経歴を前提としている種目は多分無いと思うんですが、やはり選手を引退してから、何らかの形でその競技に関わるために審判員の道に進む人は多いと思うんですよね。だから、選手層の厚みと幅広さが、その競技の審判員の規模を図る一つの尺度になると思います。そう言う意味では、日本でも競技人口の多い競技は良いのだけれど、日本の競技人口が2万人程度の「アメリカンフットボール」では、そこから審判員を目指す元選手の数はかなり少ない。以前は、それでも選手を引退してから審判員登録する人も多かったと思うけれど、最近はトレーナーとかコーチに転身する人が増えている気がします。逆に、フットボール経験は全くないけれど、観戦したりして興味を持ち何か関わりたいという事で審判員登録する人もいて、それはそれでありがたいし面白い動機だなとも思います。ただ、そういう人が毎年多く参加しているわけでは無く、慢性的に審判員は不足していて、だから審判員の高齢化も大きな問題の一つ。

日本の場合、大学でも社会人でも各チームは審判登録の人を何名か所属させるルールがありますが、これが中々難しい。大学で多数の選手やスタッフを抱える大規模校ならまだしも、選手でも20名とかしか居ないようなチームだと、マネージャーすら居ないのに審判員まで手が回らないと言うのが実状。社会人でも、やはり苦労しているチームが多いわけで、これって実は深刻な問題だったりします。そんな中で、最近は女性ファンも増えてきている「アメリカンフットボール」なので、是非女性ファンから女性審判員に転身する人も増えてきてくれたらと、今回のSarah氏の活躍を見て思うわけです。実は、日本ではヘルメットやショルダーを付けたフルギアのフットボールでの女子チームは少ない(確か2チームくらい)なんですが、ほぼ同様のルールを使用して協議をする、タッチフットボールやフラッグフットボールでは、女性チームの方が多いくらい。そこでは、当然女性が審判をする機会も多いわけで、そこからのシャリアとして、フルギアのフットボールに日本でも女性審判が誕生して、何れはライスボウルを裁くくらいの人が誕生しないかとも思うわけです。そう言う一石に、今回のSarah氏の活躍が繋がれば良いなと思います。

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