2021年2月5日

やっぱり「切り貼り」

すでに公式に謝罪して発言も撤回しているけれど、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の発言が物議を醸している件。朝日新聞が、その発言の全文を載せて記事にしているんですが...

まぁ、森氏のいつもの発言スタイルと言えばそうなんだけれど、

女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです。

と言う部分が、絶好の餌食になった気がする。 この発言も、これだけだと「女性理事が多いと、我も我元目立ちたがって収拾が付かなくなる」とも取れるけれど、例えばこの発言の後に、

だから、理事会としては議論が活性化されて密度の濃い話合いが出来るのですが、その分お忙しい皆さんを予定よりも長時間拘束したり、予定されていた理事会の回数では中々結論に至らないという、ある意味悩みも生まれるわけです。

とでも言えば、多分今回のような話にはならなかったかもしれない。

また、森氏の発言の結論を見ると、「次は女性を選ぼうと、そういうわけであります。」と、別に女性理事を排斥しようとしているわけでは無い。好意的に解釈すれば、女性理事の加入・増加を歓迎しているとも言えるけれど、メディア的にはその前の発言を切り貼りして、「古い考え」「女性排斥」みたいなトーンでの報道に終始している気がする。その方が、政権に近い存在である森氏であったり、東京2020であったり、格好の攻撃材料になるわけですからね。メディアとしては、視聴率や紙面を売る目玉になるし、今後の展開では好きなように報道姿勢を操作・調整出来る。

今回は、自ら「テレビがあるからやりにくい」と、発言の揚げ足取りの可能性を認識していながら、相手に言葉尻を取らせてしまう発言をした森氏の責任というか、判断ミスは批判されるべきだと思うし、その発言の内容に関しても言葉遣いとか言い方に関しては、誤解を招く表現が会った事は事実だと思う。一方で、本来なら、そう言う発言の問題点は指摘しつつも、森氏の主張としての結論を伝えず、単に女性蔑視という観点でのみ報道するメディアの姿勢も大きな問題だと思う。だって、これって、自分の気に入らない発言や表現なら、切り貼りして好きなように「言いくるめ事が出来る」という事を、自ら暴露していることになりますからね。今回が初めてじゃ無いけれど、メディアの怖さの実例にもなっていると思う。

さらに言えば、何処かが発した「バイアスの掛かった情報」を、同じメディア発だからと、それを元にさらに記事を膨らませて報道する仲間のメディアも同類。特に、朝日新聞の記事を元に、同じ部門に入っている New York Timesの東京支社発の記事として、英訳して配信するのは、「報道」というよりは、連携プレーとも言える行為なのでは。ソースとして、同じ建物内の朝日新聞から情報を受け取るとしても、先ずは自らその発言の生映像を確認して見るとか、日本語のニュアンスを解釈するとか、少なくともそう言う一手間は必要だろうし、その上で同じ理解になったのなら仕方ないけれど、でも日本語から英語に翻訳して、場合によっては英語のニュアンス的に拡張・誇張するような事も含めて世界に向けて配信するというのは、昔からあるあるの話。確かに、今回の森氏の発言は、好意的に解釈するとしても中々厳しいとは思うけれど、でもそうであっても無くても、恣意的にその発言を切り貼りしていいという理由にはならないはず。森氏には反省が必要だけれど、メディアには自分達の倫理観に関してそれ以上に反省が必要だと思う。

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