京都大学の、西浦浩教授らのグループが発表した、「Go To トラベルが感染者増加に影響した」という論文が話題になっていたのでちょっと読んでみました。私は、医学関係は全くの素人なので、これがコロナウイルスの話なんかだとちんぷんかんぷんなんだろうけど、一応統計関係の無いようみたいなので、それなら自分の仕事でも使うテストケースの検証とか分析とか、そう言う話とも近いかなと思うので。
で、何度か論文全体を読んでみたんですが、タイトルで「Go To Travel」と出しているのに、その「Go To Travel」との因果関係の説明が弱いというか、その言葉だけが取り上げられて誤解を招く要因になりそうな気がしますねぇ。実際論文の最後(Page-6, -7)では、この論文の内容は色々な制限から「Go To Travel」自体が感染拡大の原因とは断言できないと言っている訳で、ちゃんと論文を読めば理解出来るけれどその部分は落ちたまま論文の結果(キャンペーン開始時に観戦者が増えている)だけが一人歩きしそうな気がする。
「言葉のすり替え」とまでは言わないけれど、論文の中で感染者数を比較しているのは、県境を越えての移動者での感染者数で、決して「Go To利用者・被利用者」で検証しているわけではない。また、Go Toの影響の有無の比較には、Go To開始前の時期とGo To開始直後の時期を比較しているんですが、その時期が微妙な気がします。「Go To Travel」は、2020年の7月22日から始まったわけですが、これは幻となってしまった「東京2020」の開会式に合わせて、7月23日、24日と祝日にして、23日から26日まで4連休が設定されていた時期。だから、Go Toの有り無しにかかわらず、この時期にレジャーに出かけようという人は多いだろうし、さらに言えばこの時期は学校の夏休みが始まる時期だから、そう言う目的での移動が増えるのは今年で無くても当然でしょう。Go Toのスタート時期がこの時だから仕方ないのですが、比較するタイミングがGo To以外の要因に関しても影響のある要因が多い気がする。本当ならば、同じようにコロナ禍の中Go Toを実施しなかった「平行世界」での結果と比較するべき事案だけれど、それは出来ないから時期的にGo Toの有無で比較しているところは、ちょっと無理がある気がします。
また、感染者で県境を跨いだ移動歴のある人をピックアップしているけれど、本来はその中でも「Go To利用者」「非利用者」で分類する事も必要でしょう。また、Go Toは観光目的だけで無くビジネス目的の時にも利用可能だから、ビジネスのグループも本来は分析して、Go Toの影響は考えるべきだと思う。まぁ、その辺りはデータが無いので分類分析出来ないのだろうけど、それならなおのこともう少し表現表記には注意が必要な気がします。また、増加率に関しても、いつもの東洋経済のサイトでこの頃の状況を見てみると、7月の初め頃から増加傾向は始まっていて、7月の終わり頃には傾きが高くなっているので、Go Toの影響が全くなかったとは言わないけれど、でも論文で比較している時期に関しては、其れ以前の増加傾向とそんなに違わないように見えます。また、Go Toが影響しているならば、少なくともその後も増加すると思われるモ、8月初めをピークにそれ以降は減少するわけです。時期的には、夏休みの真っ盛りで、多くの人が移動をしていたと思われる時期に減少すると理由が、季節性もあるだろうけどGo Toの影響がどの程度なのか、ちょっとデータで説明するのは難しい気がします。いずれにしても、この論文が全ては無く、色々な考え研究がこれからも出てくる中の一つという認識で、評価するところは評価し、疑問に感じるところはさらに追求するという事が重要。一番問題なのは、都合の良いところだけ抜き出して利用することなわけで、早速そう言う目的に利用して居る人もちらほら散見されるのが、いつものことながらなんだかなぁ... (続く、か?!)
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