2020年12月17日

雑談テクノロジー

佐々木俊尚氏のコラムから、リモート会議時代に要求される「雑談テクノロジー」なるものについて。最近のVoIPベースのリモート会議ソフトは、そんなに感じませんが、私が仕事を始めた頃の電話会議特に国際電話を利用した会議だと、昔のアナログ回線をスピーカーフォンで利用したから、数秒の遅延なんて当たり前。相手の話が終わったと思ってこちらが話し始めると、続きが聞こえてくるなんて言うのもあって、その為に少し間を置くようになると、ますます遅延の間隔が広がってと言う悪循環。私なんか、当時アマチュア無線をやっていたから、無線の交信同様「〇〇、です。どうぞ。」とバトンを渡すような話方をして、こちらの話の終了を分かるようにしていましたが、全員が全員そんな感じじゃ無いですからね。

遅延だけで無く、リモート会議とリアル会議の違いを、佐々木氏は「雑談の有無」という捉え方をしているんですが、それに近いのかもしれないけれど、私はタイル状に参加者の映像が並ぶことに凄く違和感を感じます。リアルの会議の時には、勿論座る位置にも寄りますが、代替は全体の何割かの様子が目に自然と入るような俯瞰したような状況で会議が進むんじゃ無いかと。だから、何となく周りの雰囲気なんかも無意識に理解出来るし、発言が被りそうなら一寸控える、あるいは少し早めに手を上げるなんていう駆け引きも可能になる。所がリモート会議だと、基本参加者の顔しか見えないから、佐々木氏も書かれているように身体的なコミュニケーションが圧倒的に不足しているし、やはり映像だけからは分かりづらい「場の雰囲気」というものが感じられないのが、一番の欠点じゃ無いかと。

じゃぁ、アバターみたいもので代用可能かと言われると、やはりそのアバターに自分の感情とか表情を投射するのも限界があるわけで、結局は「無いよりはまし」みたいな程度に成るんじゃ無いかと。それこそ、スタートレックのホロデッキみたいな「現実以上に現実的なシステム」が誕生しないと、中々リモートでリアルの雰囲気を感じることは難しそう。だからこそ、「リモート向けのプレゼン技術」みたいなものが逆に生まれて発達してくるかも。例えば、あえて表情や身振り手振りをを大げさにしてみるとか、プレゼン資料もYouTubeの動画風に動きの有るものにして見るとか(笑)。結局、リモート会議の場合に使われる五感は、視覚と聴覚だけに対して、リアル会議の場合はそれに加えて、嗅覚に触覚もあるだろうし、視覚聴覚にしても入ってくる情報量が圧倒的に違うわけで、そうなれば処理される情報もより高精度に且つ多角的に認識されるでしょう。今は、カメラ、マイク、スピーカーがリモート会議の必須デバイスだけれど、そのうちに接触センサーみたいなものが生まれて感情フィードバックが出来るかもしれない。あるいは、今のカメラでもIRカメラ等で顔の変化を読み取り、有る程度の感情フィードバックも可能かも。

まぁ、そこまでやるんだったら、「じゃぁ、近場で今度一度集まりましょう」という事になる方が速い気がするけれど。ただ、そう言う目的も含めて、サテライトオフィスとかシェアオフィスみたいなものを利用して、分散型のリアル会議というものは有りかもしれない。例えば、10名の会議で、3-3-4と3箇所に集まって3箇所をリモートで繋いで会議をする場合、全員がリモートの場合よりも、より柔軟性や「雑談度」はアップするんじゃ無いだろうか。その3-3-4の組合せも、同じ部門同士とかでは無く、他部門同士で3-3-4と分散したら、結構リアルな環境に近づけるような気がする。それと、「雑談テクノロジー」の発達とともに、「雑談スキル」とも言うべきものも蓄積しないと駄目だと思う。別宮に特殊なスキル(=能力・知識)とかではなく、日々のリアルな生活の中から自然に得られる情報蓄積みたいなもの。リモートワークを10素運年やっていると、どうしても其れ以前と比べて外出したり外に出て活動する機会が減るわけで、そうなると社会的な状況とか流行、色々な人の好みや商品の情報とか、それまでは自然に目に入ってきたものが、中々目に入らなくなってきます。勿論、知ってて調べれば幾らでも画面上では知ることが出来るけれど、そう言う付け焼き刃的なものでは無く、自然に身についてく幅広くでも意識しないような暗黙の知識みたいなものが、どんどん不足していると思います。そういう部分を補完する努力もしないと、テクノロジーだけでは解決出来ない部分も多いでしょうね。実際、私自身も、リモートワークをするようになってから、積極的に海外旅行とかして知らない場所や世界を見るようになったし、それまで興味の無かった美術関係に興味を持ちだしたのもその頃。そう言う「雑談スキル」を来年も磨きたい(いゃ、単に飛びたいだけだし-笑)。

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