2020年11月28日

悪魔の「風評商人」

毎日新聞の「経済プレミアム・トピックス」という、経済関係のコーナーだと思われる所に、何故か福島第一原発の処理水放出問題の記事が。 これはパート2で、パート1もあるんですが、どちらも有料記事で全文は読めないものの、無料公開部分だけ見ても、「あぁ、やっぱり毎日新聞」と納得出来る内容で、経済関係の記者が科学的な事を説明すると、この程度というべきなのか、そこに隠れた意図があるというべきなのか、いずれにしても毎日新聞の科学部というか科学・技術関係の記者は、こう言う記事を公開していることに対して、何とも思わないのだろうか。

パート2の冒頭、「原発ゼロの会」の事務局長である立憲民主党の阿部知子議員が、

阿部氏は「放射性物質の総量が(環境に)非常に影響するのではないか」と指摘。「核種ごとに総量を示し、それがどれくらいの環境負荷を与えるのか明らかにすべきだ」と迫った。

と言ったらしい。後半の、核種毎の値を示すという部分は、放出する処理水の内容を確認するためにも必要だと思うけれど、「総量」と言っている時点で、この人は理解していない事を自ら証明していることに。 特にトリチウムの場合は、自然界にも存在するもので、現在の最も処理を適用した処理水であれば、そのまま放出しても問題ない値まで下がっているもの。ただし、その場合政府が決めた値を上回るので、希釈して基準以下にしたものを放出するという話。所が、この阿部氏は「総量が影響するのではないか」と言い出してしまう。「希釈」の意味を理解していませんよね。

例えば、1リットルの量では致死量に値するけれど、1ミリリットル(1/1000)以下ならば人体に影響しない「薬品(あるいは、劇物でもいいいけれど)」が有った場合、そのまま1Lを全部飲むのは問題だけれど、希釈して1000倍に薄めれば無害化されるので、例えば安全係数を2倍すれば2000倍、10倍とすれば1万倍に希釈すれば、それを自然界に放出しても影響は無い。勿論、例えばため池みたいな場所に放出していれば、水分が蒸発していつかは危険な濃度まで濃縮される可能性はあるけれど、通常は川とか海とか、その場所にとどまらない状態で放出するから、放出されたものはさらに希釈されてリスクも下がるもの。知らないことに対して不安を感じることは、普通にある「感情」の一つだと思うけれど、仮にもそう言う事を評価する立場の人間であれば、そこは勉強して必要な情報は持つべきだし、それが無いのに技術的な話をするのは、単なる思いつき、無責任だと思う。

それに、この毎日新聞の記事が悪質だと思うのは、世界では福島以上に鳥値エムを放出している発電所や関連施設があるのに、その途中で無料部分の記事が終わってしまいます。以前も書いたけれど、メディアと言えども私企業だから有料化などでビジネスモデルを作るのは問題無いと思うけれど、一方で公共的な情報提供する役割もあるわけだから、そう言う意味では無料化部分で少なくとも記事の内容が把握出来る、あるいは一旦完結出来る位の内容提示はするべきだと思う。仮に、有料部分へ誘導するために、扇情的な内容だったり、誤解を招く内容を公開することは、メディアとしての作為錯誤の責任を免れない行為では無いだろうか。ネットでは、この手の風評被害を煽るメディアを、「武器商人」ならぬ「風評商人」と言っている記事もあり、成るほどと思わず膝を叩いてしまったけれど、まさに「風評商人」そのもの。本来なら、巷の風評被害を解決するために正しい情報、信頼できる情報を提供して読者を啓蒙するべき立花のに、結果的に自分達が好む情報を提供して、より世間を混乱させる。それ故に、自分達の記事が更に注目されるという、まさに「武器商人」が自らの武器を販売するために、戦争を各地で起こす、みたいなビジネスモデルが構築されている気がします。全てのメディアとは言わないけれど、特定のメディア、新聞だけで無く放送局であっても、「風評商人」化しつつあるのが今の時代だと肝に銘じないと。

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