ちょっと唐突感のある記事。 福島第一で溜まる一方の汚染処理水を、さらに処理をして通常の原発冷却水同様に海洋放出をして処理することを決定へと言う内容。ずっとくすぶっていた事柄で、ここ最近は以前よりも取り上げられるようになってきたと感じてはいたけれど、何か急転直下に近いような印象も受けます。安倍前政権の、後半の重要課題の一つだったと思うのだけれど、結局道筋を付けずに退陣したことは不満の一つでしたが、政権が変わったからか、あるいは敷地に貯水タンクを増設する限界までのタイムリミットとの競争だったのか、決定された事は良かったと思います。実は、安倍さんもその方針だったけれど、流石に色々はレーションを起こすだろうから、実は今年の東京2020終了後に「決定」という予定を指定単じゃ無いかという邪推も。それがコロナ禍で伸び、政権も交代したので、今回の決定となったのかなぁと言うのが勝手な想像。
今後実際の放出のための設備増設などで2年位の期間が必要とのことですが、本当にぎりぎりのタイミングなんですね。技術的な所は、すでにALPS等でも蓄積はあるだろうしそんなに問題は無いと思うけれど、最大の難関は「風評被害」であることは明白。地元漁連は勿論、全国的に全漁連が懸念を示す気持ちも分かるけれど、なかなか難しい。個人的には、先の毎日新聞の記事もそうだけれど、現在もトリチウムを含む冷却水は海洋放出されていて、国によっては日本以上の数値でも放出しているのに、恰もこの福島の事例が徳辺な事のような言い方、ニュアンスを感じるんですよね。殆どのメディアの同様の記事もそうなので、毎日新聞だけの意図では無いかもしれないけれど、まさかそこまで書くと字数がはみ出るから省略していますとかの理由じゃ無いだろうな。
ネットがあろうが無かろうが、「風評被害」は昔から有る物で、どうしても止めることは出来ない。「口コミ」しか無い時代だって、風評で企業が倒産したり、それこそ昔の魔女裁判なんてその最たる例でしょうし。一寸でも不安とか疑念に関わることは、それが凄く馬鹿馬鹿しいと思われても、一旦火がつくとあっと言う間に拡大してしまい、そうなるともう止めることはおろか、それが「真実」にすらなってしまう。しかも、唯一の対策は「正しい情報を発信し続ける」事しか無いのだけれど、そう言うものは往々にして無視されたり、逆に疑惑を持たれる理由になったりするから質が悪い。もし政府が本気で取り組むなら、多分方法は四つ必要で、
- 国内原発のトリチウム含有水の放出状況を、常に提示する
- 海外のトリチウム含有水放出状況も、平行して提示する
特に韓国とか可能なら中国とかは、日本への影響が大きいわけですしね。もしトリチウム水が問題となると、日本海の海の幸は全滅、という話になるわけだし - 福島第一周辺海域の海産物の、サンプリング調査を国主導国の責任で行う
環境省あたりがタスクチームを作って、先ずは現状の値(多分、殆どが測定限界以下だろうけど)を蓄積して、実際に放出開始となった後の変化もモニターする。勿論、何か問題が発生したら対策するわけですが、やはり数値で見せることが重要。ただし、それを地元の漁連に追わせるのは違うと思うので、国の責任という意味でも国主導で行うべきだと思う。 - 風評行為、風評被害に対して、ガイドラインを作ったり、場合によっては罰則規定なども設ける
今回の例だけでなく、ネット中心の時代になってくると、「風評被害」なるものが一昔前よりも大きく深刻になってきていることは事実。言論の自由とのバランスはあるのだけれど、今回の件を機会に何か対策が出来ると良いと思うのですが
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