2020年9月10日

Zoom作法

最近では普通に使うビジネスツールの一つになったビデオ会議システムの一つ、Zoom。そのZoomが、表示される参加者の位置をカスタマイズ出来る機能を提供したことで、「偉い人を上に表示する」みたいな、日本的解釈が流布されて「Zoomマナー」なる言葉まで出てくる始末。Zoomとしては、単に表示位置をカスタマイズするためだけに提供したものが、日本で勝手に拡大解釈されたみたいですが、Zoomに取ってはいい迷惑かも。

社内のビデオ会議では、Zoomは殆ど使われず(社外のお客様との会議の時には、お客様側事情で使用する事がたまにある程度)、基本はTeams時々Skype for Business(以前から使っていたから)。あと、個人的事情でWebExを使う場合もあります。Teamsを使い始めた頃は、上司も物珍しいのか「よし、今日のミーティングは全員顔出しで」とか言っていたんですが、いつの間にか社内のビデオ会議は音声のみに戻っています。まぁ、理由は色々あると思うんですが、想像するに、

  1. 皆さん自宅からの会議参加なので、背景が映り込んだりして慌てる(ダミー背景も使えるけれど、結構違和感を感じるし)
  2. 基本仕事の会議なので、PowerPointとかExcelとかメールとか、色々な資料表示をしないといけない。それも、ミーティング中ずっと表示するわけで、となると参加者のビデオ映像はサムネイルでまとめられてしまうから、表示している意味が無くなります。また、参加者が多ければ、全員が表示されるわけでもないし
  3. あくまで感覚的な物ですが、やはり映像ありの場合と音声のみの場合では、トラフィックに影響があって、音声のみの方が回線も軽くて安定している気がします。
  4. 面接とか個別のインタビューとか、相手の表情を確認しながら話をしたいという場合を除けば、取りあえず相手の顔が見えないと困るという理由は殆ど見つからない
特に、ビジネスにおいては2番目の理由が大きいんじゃ無いだろうか。私も、参加者の顔を映し出す暇があるなら、それぞの資料を代わりに表示していて、必要な時にはどんどん切り替えてメイン画面に表示させて使用する方が、よっぽど生産性が上がると思うし。うちの会社は昔からフランクな社風で、偉い人と言えども会議に遅れて参加して席が無ければ、後ろの方の席に座ることもあったし、余り席次と言う事を意識しない。それはUSに出張して向こうの会議に参加しても同じで、場合によってはもっとフランクなことも経験しているので、多分日本の企業には再就職は出来ない体にすでになっていると思う(笑)。

日本企業の硬直性は昔から言われていると思うけれど、会議の内容以前のその体裁に拘るところも大きな理由だと思います。例えば、何か表彰式とか入社式みたいなイベントなら、その会社の社長とか部門責任者とか、組織体としての表現は意味があると思うけれど、一般的な会議であるなら、その会議の主役は会議の主催者(=Chairperson)であるし、重要なのはその会議で問題を定義する人、それに対して対策を考える人。勿論、役員の承認が必要、決断が必要という場合もあるけれど、そうでないときには会議の中での立場はある意味逆転するわけで、そう言うことを無視して開催する会議体というのは、無意味に近いし単なる「儀式」でしかないでしょうね。まぁ「Zoom作法」なんていう言葉が生まれてくるのは、何かそう言うことを定義して相手よりも優位に立ちたいというような暗黙の要求があるんだろうか。本当に「Zoom作法」を言うのであれば、表示の位置でとやかく言うのではなく、ちゃんとしたカメラやマイク、安定して高速大容量回線の準備、家族や周りの騒音に邪魔されない作業環境というような、「見えないけれど本質的な部分の作法」をちゃんとして、他の参加者に迷惑を掛けないようにして欲しい(笑)。

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