2020年9月3日

Do you speak Japanese?


茂木外務大臣の8月28日の記者会見で、日本語で質問をした外国人記者に対して、茂木大臣が英語で聞き直したり、「日本語わかっていただけますか?」と聞き直したりした行為が、失礼だ、馬鹿にしている、差別だと騒動になっている件。実際の会見のビデオが外務省のチャンネルに登録されていたので見てみました。問題のやり取りは2分15秒付近から。この会見がどの様に開催されているのか分からないのですが、どうも日本国内の記者向けに基本日本語で会見し、必要ならば外務省なのでそれなりに語学スキルのある職員なりが対応するような仕組みなのかなと推測。実際、英語版の映像もあるんですが、後から吹き替えたというよりは、その場で同時通訳の音声を入れているような感じ。

で、問題となっているJapan Timesの女性記者の質問場面ですが、この方の背景や日本語能力は分からないけれど、確かに日本語の発音は問題ないレベルと感じるものの、日本語の話し方としては何度も行きつ戻りつ繰り返しながら質問しているので、もし私がその場で聞いていたら「日本語は出来るんだろうけど、会話(Speaking)はそんなに得意では無いのだろう」と判断するレベル。勿論、Speakingは不得意でも、Hearingは得意かもしれないけれど、そこまでは分からない。まぁ、普通は一方を認識したら、他方も同程度と思うでしょうけれど。で質問者は、「入国規制の緩和方向性」と「入国に際して違いが生まれた科学的根拠」の2点を質問しているんですが、どうも茂木大臣の回答を聞いていると、彼としては2番目の「違いが生まれた科学的根拠」を「違いが生まれた根拠」と解釈したように思いますね。だから彼の回答としては、今後緩和の方向に進めていると一番目の質問に回答し、二番目の質問に関しても各国の状況に応じて対応すると回答して、質問に対して完了したという判断だったんじゃ無いだろうか。その後女性質問者は、自分が質問した「科学的根拠」に対しての回答が無いと言う事で再度質問して、茂木大臣としては回答しているつもりだったから「どう言う意味での科学的」という事で、英語で間違いの無いように聞いた、と言うような印象を受けます。女性の質問の仕方が、何度も行きつ戻りつの話し方だったので、彼女としては重視したかったであろう「科学的」という部分が相手に伝わっていないような印象ですね。

まぁ、茂木大臣もいきなり"What do you mean by scientific?"と聞かずに、「科学的根拠とはどう言う意味で?」と聞けば良かっただけではあるけれど、もしかしたら彼女の日本語を聞いていて、双方のためには英語で聞く方が早いしわかりやすいという判断だったかもしれない。これが「差別的」「無礼」と批判され、実際女性記者も「馬鹿にしないでください」とどうもプライドを傷つけられたようなことを言うのだけれど、でも彼女が「日本語で話しているなら日本語で答えてください」というのも変な話で、日本で日本語で取材する記者活動をするのであれば、もう少し日本語での会話能力、特に頭の中で「英語を日本語の語順に並び替えて、それを日本語に翻訳して話す」ようなしゃべり方は、もう少し改善が必要な気がする。いゃ、一般的な会話だったら全く問題は無い。でも、相互に理解祖語が生まれてはいけない取材活動であったり、自分の仕事の場合でも、相手がこういう状況ならば、私も途中から英語に切り替えて、重要な部分に関しては念を押すと思う。これが、例えば雑誌のインタビューなどなら、彼女が日本語で質問して日本語で回答を貰うことに何の問題は無いと思う。でも、外務省の正式な会見で、誤解や不正確な認識をされては困るというような場合には、少なくとも彼女の質問の状態を聞いてそれがイコール彼女の日本語能力と類推すると、やはり理解力に関して「大丈夫ですか、問題有りませんか」という念押しはしたくなると私は思います。

彼女の質問も「科学的根拠」という事に拘っていて、これは陽性者の数とかPCR検査数とか、そう言うことを聞きたいのだろうと思うんですが、そこは既に「状況に応じて判断」と回答していて、それだけでは判断出来ないことは具体的に言及はしていないけれど一応回答はしている。さらに言えば、日本国への入国に関して、日本国籍者に関しては日本国政府に保護義務があるけれど、在留者に関しては場合によっては再入国が認められないことがあるのは常の話なわけで、そこは様々な要因があるのは今回の新型コロナウイルス以外の場合でも同様。Diamond Princess号なんてその典型例ですよね。だから、何か具体的な回答が欲しくて「科学的根拠」と聞いているようで、実は「答えの出ない答えを求めている」ように思えて、そう言う意味で彼女の質問は一寸疑問を感じるところです。例えば再度質問しているときに、単に「科学的根拠」というのではなく、「各国の状況で判断というが、そこに例えばPCR検査数とか陽性率とか、どれだけ定量的な、科学的な根拠が反映されていて、それが今回のような区別する理由になっているのか」とか聞けば、もしかしたらもう少し具体的な回答が得られるかもしれない。それでも「各国の状況に応じて適切に判断する」としか言えないでしょうね。まぁ、そう言う意味では、答えの出ない答えを求める質問をしている時点で減点だろうし、そこを上手く伝えられず相手から求めている回答を得られなかったのは、やはり彼女の能力の問題だと思う。そう言う意味では、英語で質問されて「日本語で良いです」と言うんじゃ無くて、そのまま英語で聞きたいことを質問すれば良かったのに。日本語だろうが、英語だろうが、自分の取材活動として必要な情報を過不足無く得ること、それが「記者」としての仕事だと思うし、自分の日本語能力に対してのプライドなんて邪魔なだけだと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿