自民党の総裁選選出には、石破氏、岸田氏、菅氏の三氏が立候補を表明。今後8日に告示された後に、14日に両院議員総会を開いて投開票が行われて、新しい自民党総裁が決まり、その後国会での首班指名で次の内閣総理大臣になることが事実上決まるわけです。ところで、その選出方法が「両院議員総会での投開票」となったため、一部メディアや野党などは「民主的で無い」と批判するところも。これまでは、全国の党員の投票に、各支部の投票に、所属国会議員の投票を合わせたもので総裁が決まっていたものに対して、今回は全国の党員投票が無い事が「民主的で無い」と言われる所以らしい。
今回のその決定方法が、急遽今回のために決められたのであれば、その「非民主的」という批判もそれなりに理解出来るけれど、既に「本来は全員での投票、ただし緊急の場合はこれこれの方法」と予め決まっている物だし、過去同様に相殺が辞任して交替する場合にも行われてきたもの。別に今回が初めてでは無いし、実績もある方法を採用しようとしているのに、何故批判が生まれるのかそこが分からない。自民党の総裁は、イコール内閣総理大臣を選ぶことであり、それを議員だけで選ぶことは民主的で無い、と言うけれど、じゃぁ内閣総理大臣を「自民党関係者だけで選ぶことは民主的なのか」という疑問も。確かに、国会での議員数の関係から、自民党総裁がイコール内閣総理大臣になることは、事実上の既定路線なんだろうけど、今回の選挙はあくまで一政党の代表を決める物な訳だから、それはその組織として決められている手段を選ぶのであれば問題無いはず。実際、今回の場合は、安倍総理の辞任理由に健康問題があるので、できるだけ早く政権移行したいという事と、政治的空白を作らないという理由があるわけで、別に特定の候補に有利に働くようにと言うわけでも無い。それに、各支部からの3票に関しては「可能な限り党員の意見を反映するように」という注釈も付けられていて、だから支部によっては党員の意見を集めて3票に塩梅するところあるみたいで、それなりに「民主的」な方法をとろうとしているように思います。
メディアや一部野党が「密室政治」「非民主的」と批判するけれど、でも今の立憲民主党の枝野代表にしても、社民党の福島党首にしても、別に選挙で選ばれたわけじゃ無いでしょ。記憶に新しい福島党首選出にしても、吉田忠智氏の時には社民党としては初めて、社会党時代からみても17年振りに党首選挙で決まったけれど、次の又市征治氏は他に立候補者がなく無投票で決定。続く福島瑞穂氏も無投票で決まるという状況で、それってある意味「密室政治」みたいなものでは。さらに言えば、共産党の志位和夫氏にいたっては、もう20年以上もずっと書記長のままなわけで、こちらの方が問題じゃ無いのか。まぁ、相手のやることは問題があり、自分達がやることには問題ないという、例によって「都合の良い論理」であることは明らかなんですが、メディアに至っても同様の考えと言うは、多分意図的恣意的なんだろうけど、恰も問題があるように伝えるのは相変わらず。余りに「民主的」という重い言葉が、軽く使われていることに疑問を感じます。
逆に、我々は「国会議員」を選挙で選ぶことで、国政への関わり合いを委託しているわけですから、その代表者が代理として仕事をする事が本来正しいはず。そこに、「党員」だとか「支部」とか、自分達が委託していないような要素が入ることの方が「非民主的」じゃ無いだろうか。今まさに進行中のアメリカの大統領選挙は、各州の国民が選挙人を選び、その選挙人が大統領候補者を選ぶことで「アメリカ大統領」が決まる仕組み。ここに、「選挙人に加えて、各政党の党員票と、州の支部票を加えます」と言ったらおかしくなるわけですからね。勿論、アメリカ大統領選挙の仕組みと日本の政党党首の選択方法を比較することは適切では無いだろうけど、その状況やその他の理由で「適切であると思われる方法」を利用することが正しく、それを予め決めておいて必要な時に活用することが「民主的」な方法だと思いますけどね。繰り返しになるけれど、今回の方法が急遽今回のために決められて利用されるなら、それは批判の対象になると思うけれど、以前から決められている方法で且つ過去何度もその方法で総裁が決まっている事実を無視するように、今回は「非民主的」と言うのは理屈に合わない。単に、批判するための理由に利用して居るだけで、それこそが「非民主的な行動」だと思う。
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