2020年9月25日

ベーシックインカム

 最近耳にするようになってきた「ベーシックインカム(BI)」なる言葉。政府が国民一人一人に対して、最低限の生活を送ることが出来る額の現金を定期的に支給する政策ですが、個人的には疑問を持っている政策の一つ。やり方には色々あるので一位に「こう言う方法」とは言えないけれど、大体7万円から10数万円程度を支給する代わりに、医療費控除や社会保障などの支援が無くなるもの。健康で全く病気や怪我もせず、仕事も順調で不安が無い人ならば、まるまる毎月給与が増額したようなものなんですが、その分を将来に備えて直するなりすれば良いけれど、その場で使ってしまったら万一の場合には困ってしまうだろうし。

先日、一人10万円の特別給付金配布の時に思ったんですが、先ず一番最初の問題は「国民一人一人が特定出来て、且つ金銭振込が出来るシステム」が無い事なんですね。前者の国民一人一人の認識は、マイナンバーカードの所有を義務にして、かつ色々な登録情報を紐付けしないといけない。金銭振込が出来るシステムとの連携にしても、単に金融機関の口座とリンクするだけでなく、口座を変更するときの対策はどうするのかとか、複数口座を持っている場合の対応はどうするのかとか、いろいろ課題もありそう。さらに言えば、一回の10万円の配布には13兆円が必要なわけで、仮にこれを一年間行うには、156兆円、一回7万円にしても、100兆円以上の予算が必要で、これって税収を遙かに超えているのだけれど、毎年国債を発行するにしても無理がある気がする。

何かやるときに「出来ない理由」を探すべきでは無いけれど、でも一回限りの特別給付金みたいな政策ならともかく、ある程度継続して支給しないといけないBIの様な政策の場合には、やはりそれなりの財政の裏付けが無いと駄目でしょう。何処かの政党が言っていたように「探せば埋蔵金はある」という事は無い事は明らかだし。先ずは一番基本的な財政の所をはっきりさせないのに、「出来ると仮定した」上で、その効果だけ評価するのは変だと思う。何か物を作るときに、設計図は完璧なんだけれど、それを作る素材や部品の目処が付かないので、画に描いた餅にしかならないのと同じ事じゃ無いだろうか。

勿論、現在のシステムは色々問題や課題はあって、医療費の増大を抑えることも必要だし、失業者対策や貧困そう対策も必要。さらには、人口減少に対して年金などの公的補助金対策も必要な訳です。それらを解決する唯一の解は、やはり経済を回して成長させることしか無いわけで、やはり経済政策をもっと大胆にかつ即効性のある方法で進める事が、BIよりも優先するように思いますね。今回の新型コロナウイルス対策では、いろいろな支援策が出されて、かつこれまでに無いスピード感で支援が始まったと思うんですが、ああいうことを平常時でも考える必要あるのでは。ただし、不正受給者の話もあったから、システムに関しては、今度は厳密にするべきだと思うけれど。緊急を要する新型コロナウイルス対策の時には、ある程度ざるになるのは仕方ないと思うけれど、社会インフラとして整備する時には抜けは許されないし。単にお金を渡す「ベーシックインカム」ではなく、その人の生活条件や環境にあった仕事を斡旋するような「ベーシックワーク」みたいな政策の方が、救われる人は多いんじゃ無いだろうか。

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