2020年9月20日

ハンコを無くす

 今朝たまたま観ていたCX系列朝07:30からの「日曜報道」。今朝は、組閣されたばかりの菅内閣から、田村厚労大臣と平井デジタル大臣が出演していて、主に前半30分の内容でしたが、お二人とも結構しっかりと現状把握されていて、見応えがあった印象。まぁ、田村大臣は以前も厚労大臣を務めていたし、平井大臣も以前に特命大臣を務めていたこともあり、それなりに経験者で勝つ自分の得意分野だからそれも当然なのかもしれませんが。

で、デジタル化の話で、平井氏が悪しき前例としてあげたのが「対面、書面、押印」の三つ。対面はビデオ会議になり、書面はペーパーレス化で電子書類化されながらも、「押印」という行為だけは何故か生き残っている。で、番組の中ではこれを無くすという話が進むのは良いのですが、どうも聞いていると単に「ハンコを押す」という行為を無くしましょうというだけで、例えば良くも悪くもその「押印」によって成立していた承認システムの代替案とか、そのデータのバックアップとか、今始まった議論では無いのだから、もう少し肝心な部分に関しても意見を出して欲しかった気がします。

「押印」という行為は、紙の書類が存在するので成立している行為な訳で、書類が電子化されたら別の方法を考えると、押印に相当する行為を定義しないといけない。ハンコデータを電子化して貼付したり、それぞれのアカウントに権限を付与させたり、色々な電子承認システムがあるところを、まずは何か共通の基盤定義をしないといけない。画面上どう見えるかは二の次三の次で、そのデータに対して誰が何時承認をしたのか、という属性をいかに安全に信頼性を担保していけるか、そういう部分を本当は考えないといけないのですが、中々そういうものが見えてきていない気がします。そこはやはり、同じような技術を競争している企業が存在しますから、なかなか「これ」と一つに決められないという事情も分かるのだけれど。以前から思っているのですが、マイナンバーカードを必須にして、その個人番号を圧縮暗号化したものをその人の「署名」として、承認作業に利用出来る仕組みが必要じゃないかと。ただ、例えば仕事で押印する場合と、個人で商品を購入する時の押印では意味が違うので、そこは個人の署名データに会社属性みたいなものを添付出来るような仕組みも必要かも。

もう一つ感じるのは、デジタル化を進めるのは結構なんですが、バックアップシステムをどうも束という事も重要だということ。特にデジタル化の場合は、使用する場所とデータのある場所が一致しているわけでは無いから、例えば浜松で何か災害が発生した場合に、浜松の企業も影響するだろうけど、そこにデータセンターとか有った場合、日本中の企業に影響が波及する可能性もあるわけです。企業等で良くあるのが、東京に本社がある企業が、大阪にバックアップセンターを作る、みたいな分散化ですが、国のデータともなると、北海道、本州の東と西、九州、位には分散して保存しないといけないかもしれない。当然、その分コストは掛かるわけです。もしかしたら、日本のデータを別の国にバックアップとして保管する必要もあるかもしれない。かくも既存のシステム・仕組みを変えることの大変さ難しさを実感しますが、そこまでやらないと、単に押印行為を無くす、ハンコを無くすだけでは解決しない問題なんですよね。ただ、それを解決出来れば、例えば免許証やパスポートの電子化も進むだろうし、決済なども今よりも簡単になるだろう。あと、嫌がる人も多いだろうけど、自動的に確定申告されて徴税も効率化されれば、逆に税金は下がるかもしれない(甘いか-笑)。折角「デジタル庁」が出来るなら、やはり現代に合わせた形に最適化して欲しいし、そこに何か利権が絡むので有れば、そこも一緒に整理整頓して欲しいですよね。

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