2020年9月26日

中曽根氏合同葬

昨年亡くなった中曽根康弘元首相の合同葬の経費、約9600万円を令和二年度一般会計予備費から支出することになったという産経新聞の報道。ざっと探したところでは、朝日新聞も報じているけれど、一般紙ではそんなに大きく取り上げられてはいない印象。

所がネットでは結構話題になっていて、まぁあっち側の人達は「何故国葬(※これは誤解)」「9600万円も無駄」「何故この時期に」等批判の嵐で、とうとう「#中曽根の葬式に税金を出すな」なる、なんともはやのタグまで登場。ある事象に対して疑問を持つことや、そこから批判することは良いことだと思うけれど、少しも調べることもせずに延髄反射的に反応するのは害でしかない。「批判」するということは、その内容を理解して、その中で問題点を認識して、それに対しての疑問なり事実なりを指摘することな訳だから、そういう部分無く単に「怪しからん」だけ言うのは批判では無い。

今回の件も、少なくとGoogleで検索するなりWikiで「国葬」とか「合同葬」で検索してみれば、過去の事例が直ぐに出てきます。

  • 戦後政治家の国葬は、吉田茂元総理大臣一人で、吉田氏の後には昭和天皇の大喪の礼が最後
  • 国家、もしくは国家機関が関与した葬儀(合同葬)は何度も行われていて、直近では2007年の宮澤喜一元総理の内閣・自民党の合同葬。この時の支出は約7,700万円で、皇室関係者に内外の特使・大使等約2,600人が参加したらしい
  • 総理大臣経験者以外にも、参議院葬等も行われていて、小野明氏(日本社会党参議院議員、参議院副議長)や、西岡武夫氏(与党時代の民主党参議院議員、参議院議長)等の例も
  • 中曽根氏の合同葬は、元々今年の3月に予定されていたものが、コロナ禍のために10月まで延期されたもので、今回突然出てきた話でも無い
どう言う規準で合同葬を開催するのかは不明だけれど、それなりに功績のあったと判断される国の重要な職責にあった人という意味なら、少なくと内閣総理大臣経験者で大きな成果があったならば、合同葬の対象となってもおかしくないでしょう。特に中曽根氏の場合は、以前の「安倍・トランプ」並みに「中曽根・レーガン(ロン・ヤス)」関係を構築して、日米の関係改善を進めた功績は大きいと思うし、後大きいのは国鉄の民営化でしょうね。このコロナ禍での開催で、どの程度の人がどんな場所から集まるか不明だけれど、所謂「弔問外交」という意味合いも出てくるから、スタートしたばかりの菅内閣としてもこの時期に開催する意味はあるでしょう。

反対意見が出るのも、それはそれで必要だと思うけれど、少なくともネットで観る限りは、菅政権だから、中曽根氏だから、与党だからと、理由にならない理由で単に反応しているだけみたいで、あまつさえあんなタグまで作って騒ぐ理由が分からない。しいて疑問を呈するのであれば、まだコロナ禍が収束していないこの時期に国際的なイベントを開催するリスクは考えられているのかとか、前回よりも2000万円近く多い支出の理由は何なのかとか、問うべき点はあると思うんですよね。そういう部分を明確化していくことには意味があると思うけれど、結局は「なに、怪しからん」と反射しているだけなので、「あぁ、いつもの反応ね」で終わってしまい、彼らの行動意義自体が疑問視される結果に。毎度の事ではあるけれど、あぁ、こうやって今日のネットも平常運転されているんだなぁと実感だけはします。

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