2020年9月30日

マッチポンプ

 朝日新聞が掲載した、ワクチンへの信頼度は日本が世界最低レベルという記事。2015~2019年に149ヶ国・地域で約28万人に調査したデータが元になっている英国の研究らしいのですが、これを朝日新聞が問題として伝えていることに、ネット界隈では批判の嵐。その理由は、その「世界最低レベル」になった原因が、朝日新聞のHPVワクチン接種拒否報道にあるから。

2016年に公開された"Trends of Media Coverage on Human Papillomavirus Vaccination in Japanese Newspapers"(日本におけるHPVワクチン報道に関しての傾向)と言う論文で、その経緯などは少し前にNathanさんがnoteにまとめられています。この論文に寄れば、2013年3月8日に朝日新聞に掲載された、HPVワクチンの副反応やリスクに関しての記事を発端として、以降のトレンドが180度変わってきていることを示しています。noteにもあるように、何故かその2013年の朝日新聞の記事は削除されていて、現在はアーカイブでしか参照出来ないのですが、HPVワクチン接種を受けた女子中学生が副作用で1年以上も通学できない状態だったことを伝えています。無料接種を行った杉並区も副反応を認めて補償をしたらしいのですが、何故かこの記事を朝日新聞は削除。しかしその2年後には、当時接種を受けて副反応が出た女子中学生の記事を掲載しています。

この副反応に関しては、それを指摘した2016年の論文が2018年に撤回されているんですが、どちらかというと撤回されたことよりも、撤回された側がその根拠が不適切というようなニュアンスの記事になっている気がします。ただ、この頃から再びHPVワクチンの重要姓が再認識され、少しずつ接種再開する動きも出てきた切っ掛けになったのではないかという気もします。ただ、他国が何十%とかの接種率にあるにもかかわらず、日本は確か1%を切るくらいの接種率だったものが、やっと数%とかになりつつある程度で、まだまだこの問題の先は長いとしか言いようがありません。2013年以降接種が停止して、その頃にワクチン接種を受けなかった人達は、そろそろ適齢期となり出産などの機会にも恵まれる年齢になるか思うんですが、どれだけの人がワクチンを受けなかったことによる不利益を被っているのか、もしかしたら日本の出生率に大きく影響する事態にもなるかもしれない。

勿論、朝日新聞だけの責任ではなく、多くのメディア特に情報提供系のモーニングショーやワイドショーの罪も大きいと思う。そう言う事例は、豊洲市場移転問題でも、東京2020の会場設置の問題でも、何度も繰り返されてきたことだから。ただ、そう言う背景を知ってか知らずか分からないけれど、無責任に現状批判記事を書くのは無責任を通り越していると思う。とは言っても、昔のことは忘れました位のことは言いそうな相手ではあるけれど。それと、去年に当時の厚生労働省の担当者に聞いたインタビュー記事があるんですが、多分当時から相当のメディアバッシングがあったと思われる担当者の方の気持ちも分かるんだけれど、ちょっと投げやり的な態度には疑問を感じます。インタビューしている岩永直子氏の主張もメディア寄り、マスコミ寄りの印象は受けるけれど、厚労省側の「メディアが世論を変えてしまった責任まで行政にあるのか」という言い分には、ちょっと不満。メディアが世論を代えても、やはり正しいことは正しい、必要な事は必要と言わなければ、本当必要な行政は出来ないんじゃ無いだろうか。まぁ、モリカケの話とか、桜を見る会の話とか、メディアが暴走してそれに乗っかり利用する人達がいるのが、一番の問題なんだけれど。それに全く気がついていない、正す気が無いということを証明しているような記事ですよね。

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