ここ数日TLを騒がせている、「旅館の料理が多すぎて食べきれない」という話題。とある人物が、GoToを利用して「一寸高級な旅館」に宿泊したところ、夕食に食べきれないくらいの内容の料理が出されて、「廃棄前提の料理」とツイートしたことで一気に炎上。そこからの展開が、単に炎上するだけで無いのが「ネットの面白いところ」なわけで、ハッシュタグ「#旅館の料理」で、各地の旅館が自慢の料理を紹介したり、その批判された旅館に予約が集まったりと、結果的には良い方向に振れたわけだけれど、単純にその行為の善し悪しだけで無く、一寸想うところがあったので備忘録として。
最初に思ったのは、この人物(仮にA氏)って、余り「旅館」を利用した経験が無いのでは無いかという事。多分食事が付いていない基本素泊まり前提の「ホテル」はそれなりに利用しているんだろうけど、所謂食事付きが前提である正当的な「旅館」というものはそんなにないのではと思うんですよね。普通旅館の場合は「一泊二食幾ら」のように食事付きが前提。その中でも夕食に関しては、ある意味その旅館の「売り」なわけで、品数も増やしたい、量もそれなりに満足出来るだけ出したい、内容もバラエティー豊かにしたいというのが普通。旅館が懐石風に料理を出すのも、その間に利益率の高い「お酒」を売りたいという事も有るわけで、そうなると色々と品数を増やす方が有利でしょう。一方で、原価計算も必要だから、そんなに最初から廃棄前提の分量なんて出せないしだすわけも無い。大体の場合は、最後の「ご飯」で調節すると思うんですが、結構分量的には融通も利くし。あと、今のように暑い時期は駄目かもしれないけれど、例えばご飯とか料理が余った場合、頼めばご飯は夜食用のお握りにしてくれたり、生物以外の煮物とか漬物なんかも、余ったら一緒に添えてくれることもあるはず。よほどのことが無い限りは、一度客に出した物をそのまま下がってきたからと言って裏方で食べるわけにも行かず、普通は廃棄するしかないから、それを後からでも食べて貰えるなら、全部の旅館では無いけれどそう言うサービスをしてくれるところもあるので、そのあたりは先ずは聞いてみる事が第一。最近の予約の場合は、殆どのケースで夕食の内容とかも事前に分かるわけだから、そこで判断して多いと思えば事前に減らすこともお願いすれば良いだけの話しだと想うんですよね。
ここでふと思ったのは、もしかしたらこのA氏は、バイキングみたいなものを何となく予想していたので、目の前にずらっと並べられた物を見て「えっ?」と思ったのかもしれないということ。バイキング形式の場合は、自分が食べたいものを食べたいだけ取れば良いから、自分目線で見れば「最適化された料理」とも言えるんですが、その為にはその人が取るかどうか分からないような物まで準備しておかないといけないわけで、そう言う意味では「無駄」はバイキングの方が多いような気がします。もちろん、出す側としても、その日の宿泊客の様子や実際に人気のある料理・不人気な料理で量を調整して、出来るだけ最後に無駄がで無いように努力するんだろうけど、一方で最後のお客さんまで満足するように品揃えは準備しておかないといけないわけで、その点は旅館の料理よりも所謂「ロス率」は高いような気はするんですけどね。そのバイキング形式も、今の社会情勢では新型コロナウイルス感染の原因になるという事で、バイキング形式を止めて事前に取り分けた物を取ってもらったり、スタッフがその場で取り分けたりと、サービスの形態も変わってきていますが、カジュアルな感じで満足したいバイキングに対して、有る程度フォーマルな感じで満足感を得たい旅館の夕食は、別物と考えないとそれぞれのビジネスモデルとして成立しなと思うなぁ。で、どちらも許容範囲内でのロス率に収めつつ、お客様の満足度が「足りない」よりは「足りること」を大前提に、量も質も内容も努力する物だと思う。
もともとのA氏の書込にしても、「量が多かった、食べきれないくらい」と終われば、何の騒動にもならなかったものなのに、「廃棄前提」と余計な憶測を入れたのがトラブルの元。確かに、「食べきれない」→「残る」→「廃棄するしかない」というのは正しい推測だと思うけれど、最初から食べきれないことを前提に準備することは、日本の風習的には先ず無いと思うなぁ。中国の場合は、食事が終わってもまだテーブルの上に沢山の料理が残っていることが「良し」とされるという話を以前聞いたことがありますが、日本でも冠婚葬祭の料理は多く出す事が美徳とされています。でも、少なくとも日本の場合は、残った物は「折に詰めて」持ち帰ることを前提にしているわけで(結婚式の尾頭付きの鯛とか)、そこは一寸意味が違うと思う。まぁ、A氏にしても、「食事も込みの旅館の楽しみ方」を分かれば、多分同じ物が出ても今度は違う印象を持つんじゃ無いかと期待するわけですが、それは無いかな...
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