2020年8月22日

法律の厳密さ

新型コロナウイルスの感染拡大時に、製造元である中国での消費の高まりや、戦略的な輸出政策により、ほぼ使い捨てマスクが無くなってしまった今年初めの頃の日本。その為、マスクの高値が続き、且つ転売目的での購入が相次ぎ、それらを是正するためにマスクやその後の消毒用アルコール製品を「転売規制品」としていました。それを、現在では十分な量が供給されているということで「規制解除」が答申され、この29日から実際に解除される事に。それに対して、時期尚早と反対意見も。「#マスク転売規制廃止に反対します」というハッシュタグまで作られて、それがそのまま政権批判に繋がっているんですが、実はそうではないと言う話が、以下略ちゃんのまとめに。

元々規制の根拠となったのは、昔のオイルショック(1973年~)の時にパニックになった、トイレットペーパーや石油製品に対して作られた「国民生活安定緊急措置法」。この法律を一部改正して、今回のマスクや消毒用アルコールに制限を加えていたもの。その法律の中には、制限するときの決まりは勿論、「第3条2項」に、
第三条 物価が高騰し又は高騰するおそれがある場合において、国民生活との関連性が高い物資又は国民経済上重要な物資(以下「生活関連物資等」という。)の価格が著しく上昇し又は上昇するおそれがあるときは、政令で、当該生活関連物資等を特に価格の安定を図るべき物資として指定することができる。
2 前項に規定する事態が消滅したと認められる場合には、同項の規定による指定は、解除されるものとする。
と、無制限に制限可能なものではないと決められています。 朝日新聞の記事によれば、マスクの供給量は、6月に8億枚に達し、8月には10億枚まで供給可能になるとのことで、確かコロナ直前での中国からのマスクの輸入量が8億枚だったと記憶しているので、現在の輸入量と合わせれば十分な状態と言えるでしょう。消毒用アルコールに関しては、供給量は600万リットル/月と十分と言われているけれど、確か以前はそのアルコールを入れる容器不足のために十分に市場に出回らなかったはずなので、そっちも解決したんだろうか。まぁ、多少は疑問は残るものの、「価格が著しく上昇し又は上昇する恐れがある」状態では無いのに、いつまでも規制を続け事は、逆にそれが違反していると訴えられるリスクが生まれてくるわけで、その為に一度解除する必要があるという理由らしい。

酷暑の天候もあって、最近では布マスクや通気性の良いマスクが主流で、不織布マスクの需要は下がっていることもあり、製造メーカーを問わなければ入手は難しくない。ただ、価格は以前と比べるとやや高止まりしている気がするんですが、「高騰している」という状況では無い事も事実。先日親戚の集まりがあった時に、自宅で歯科技工士の仕事をしている親戚と話をしましたが、彼曰く「医療系のルート経由で、問題なく入手可能」と言っていましたので、殆ど回復していると言っても良いのでは無いだろうか。勿論、感染爆発がまた発生する可能生はゼロでは無いけれど、その場合でも必要ならば再び規制対象にすると加藤厚労大臣も言っているので、冷静に現状を見た判断じゃ無いかと思います。

この解除に反対している人達は、中には海外でのマスク需要の高まりなども含めて時期尚早と言っているのかもしれないけれど、ざっと眺める限りでは何となく政権批判したいが故に延髄反射で「反対」と言っている人が殆どのように感じます。勿論、そのまま規制したままの方が多分行政としても楽なんだろうけど、そこは民主主義の国、自由の国日本。「既に十分な状態であるのに規制を続けるのは違法である」と、それを攻撃のネタに転換することも可能になるわけで、ある意味諸刃の剣になるんですよね。そう言う意味では、真摯に状況を見て判断して必要と思われる対策をしているというのは、今の新型コロナウイルス対策が機能しているという証明にもなるんじゃ無いだろうか。無駄に波風を立てるよりは、そう言う是々非々でちゃんと判断して、そこで抜けていること、例えばアルコールはあっても入れ物が足りないとか、防護服やフェイスシールドはまだ足りないとか、そういう部分をちゃんと遡及できれば、周りからの評価も変わってくると思うんですけどね。

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