2020年8月29日

記者の程度

昨日夕方5時から開催された、安倍総理の辞任会見。NHKの生中継の様子を見ていたんですが、会見会場で質問をしている記者の程度の低さに改めにガッカリ。突然の会見設定とは言え、数日前から囁かれていた話だし、事前に会見時刻も告知されていたんだから、普通ああいう場所には各社のエース級の記者が投入されると思うのですが、それであの程度なんだろうか。

会見は、総理の説明の後、確か幹事社2社が最初に代表質問をして、その後は自由に最初は加盟社記者を、その後はそれ以外のメディアを指定して質問していたと思います。ビックリしたのは最初から途中まん中くらいまで、どこの記者も最初に御見舞の言葉すら無く質問をしていること。「メディアというのは、礼儀も常識も無い人なんだな」と呆れていたところ、途中確か女性記者だったと思うけれど、やっと最初に御見舞の言葉があり、あぁ後も続くと思ったら、そんなこと無し。その後、もう一人それっぽい言葉を言った記者がいたように記憶しているけれど、まぁ常識の無い人達の集まりなんだなと言う事を再認識しましたね。彼らの多くが、これまで政権批判の立場から報道していただろうとは推測されるけれど、あえて自分の病状を公開して最悪の状態になる前に次への道筋を整えて退く行為に、それなりの敬意は表すべきでは。良くメディアの人は「取材対象者との信頼関係を築いて」とか言うけれど、ああいう態度や行為を見ていると、本当にそんなことを考えているのか大いに疑問を感じます。

さらには、全部で10社以上が質問したと思いますが、多くは「それ、今聞く話か?」と言いたいような内容。特に、共同通信の記者だったと思いますが、「何故今日はプロンプターを使わないのか」という質問を聞いたときには、思わずテレビのこちら側から「お・ま・え・は・ば・〇・か?!」と出川哲朗風に突っ込んでしまいました。大体メディア、特に放送局であれば、プロンプターは普通に使われている物だし、政治の世界でだってもう10年20年以上使われているもの。自分が記憶している範囲では、細川内閣で使い始めたのが最初じゃ無いかという気がしているんですが、総理だけで無く野党の党首会見でだって使われている。そう言う「普通の物」を、たまたま何かの切っ掛けで攻撃するネタになると思えば利用しているだけなので、こういう時にああいうくだらない質問が出来てしまうんでしょうね。あの質問が、その後の質問も含めて全て壊したと私は感じます。だから、後半フリージャーナリストにも質問機会が回ってきて、ジャーナリストの江川紹子氏も質問に立ったけれど、彼女の質問も何かピントがずれていた気がします。質問内容は、感染者把握や特別給付などで不手際があったが、その事に関しての反省は何か、みたいな事だったと思います。素人の質問じゃ無いのだから、同じ内容を尋ねるにしても、日本には他国のような強制的な国民登録制度やシステムが無いが、今回問題点が露呈した。同様のシステムを導入するのか、それが出来ないとしてどう言う対策が望ましかったと思うか、位は掘り下げて質問してほしかったなぁ。江川さん、鋭い時には凄く良いところを突く半面、そうで無いときには素人さんみたいな場合も多くて、今ひとつ信頼性が低いというか何というか。

質問内容に関しては、勿論幾らでもあると思うのだけれど、志半ばにして病気というどうしようも無い理由から急遽辞任せざるを得なくなった人に対して、やはり一番尋ねるべき問いは、「そのやり残した仕事の中で、何が一番心残りなのか、どの様にして残った仕事を次の後継者・組織に解決して欲しいのか」という事じゃ無いだろうか。ある意味、無念の気持ちを残した総理に対してのはなむけの言葉にもなると思うんですよね。また、自分達が「安倍総理」「安倍内閣」をこれから評価するときの基準にもなるんじゃ無いかと思うわけです。既に済んでしまったこと、過去の話は、後から幾らでも評価も批判も出来るけれど、国民としては今から、これからどうするのか、と言う事が一番重要なはず。後継総裁の候補者に触れる質問も出たけれど、「誰々が良い」と言えるわけも無く、そういう下世話な質問をする余裕があるなら、もっと意味のある質問をしろよと、小一時間。安倍政権というのは、ある意味メディアとの戦いの政権でもあったと思うけれど、最後の会見の様子を見ていても、これまでの「メディア」が劣化していることを再認識した1時間だったなという気がします。

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