2020年8月30日

本音を隠せないメディア

毎日新聞が掲載した「アベノミクスあっけなく幕切れ」という記事。有料記事なので全ての内容を読むことは出来ないけれど、最初の段落を読むだけでお腹一杯。だいたい「アベノミクス」「あっけなく幕切れ」という言い方は、この新聞としては矛盾していないだろうか。もともと「アベノミクス」に対しては批判的な立場だったわけで、その立場で言えば「あっけなく幕切れ=まだ続くと思っていたのに、予想外なところで終わってしまった」と言う意味になるのでは。だから「アベノミクスとうとう終焉」とか言うなら、これまでの主張通りだと思うのだけれど、この見出しでは「まだまだ続く、まだまだ伸びると思ったのに終わってしまった」という意図にならないだろうか。

掲載している経済指標についても、失敗・マイナスを言いたいであろう3指標については、新型コロナウイルスの影響を考えないといけないはず。

  • 名目賃金に関しては、働き方改革などで残業時間減少や、パートタイムなどの雇用増加がその理由と言われている。
  • 国債発行残高は、新型コロナウイルスの特別給付金や様々支援策の原資として追加発行されているわけで、単に無節操に増加しているわけでは無い。
  • 国内総生産も、新型コロナウイルスで一番落ち込んでいる時期と比較しているからで、国内総生産の10%を占めると言われている観光関連業(約50兆円)が、ほぼゼロで会った事を考えると、-13兆円というは実質的にプラスと言えるのでは。
数字に語らせることは重要だと思うけれど、単に数値の増減だけを比較しても誤解を招くことも多いわけで、その背景なりも加味した上でその数字は評価しないと、単に「数字を利用しただけ」になりかねない。それに毎日新聞は「安倍第二次政権発足当時」の数値を上げているけれど、これだってその前の民主党政権でボロボロになり、そこから安倍政権への期待値で結構アップした時の値なんですからね。そう言う意味では、野田政権の終盤と、この発足時の値を比較して、それと比べて今回の退任時の値がどうなのか、と言う事を言わないと、フェアな比較にならないのでは。

見出しと言い、その表現の仕方(指標の出し方)を見ると、多分毎日新聞的には「8年近くも政権の座にいて、確かにスタート時からプラスになった事もあるけれど、それ以上に落ち込んでいるところもあり、結果あっけなく幕切れとなった」という言い方をしたいんでしょうね。でも、日頃は安倍政権に退陣を迫るような批判的な事を述べているわけだから、「あっけなく」というのは変でしょう。本当ならば「我々の主張通り、政権は頓挫した」とか言いたいのでは。でも、それでは批判が来るからこんな言い方をしているような気がする。新聞社あるいはメディアは、一度安倍政権スタート時と現在の自社の株価なり、売上げなりの数値を比較してみたらどうだろうか。それでマイナスになっているから「アベノミクスが悪い」と堂々と主張できるのでは。まぁ、笑われると思うけれど。

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