ここの所新型コロナウイルスの陽性者数が高止まりし、さらにその傾向が全国的に広がりつつあるここ最近の状況は収束する様子を見せない。一方で、陽性者数の増加に反して、重傷者数や死亡者数に関しては、ずっと低い数値が続いていて、そう言う意味では「危機的状況」かと言われると、4月下旬からG.W.あたりに、重傷者や死亡者が毎日多数発生して居た頃に比べると、全くそんな状態では無い事も確か。
そんな状況で世論の様子を見てみると、「さらにPCR検査を進めて、陽性者を割り出して隔離治療するべき」派と、「重傷者対策、高齢者対策を中心に、三密回避をしながら普通の生活に戻して行く」派の二つに大別できると思うんですよね。で、自分は間違いなく後者の考え支持派で、メディア等では相変わらず前者の「全員PCR検査」を未だに言っているんですが、物理的にも費用対効果的にも無意味な事を、何でそんなに主張できるのか、それが不思議。このあたりは、永江一石氏が例によっていろいろと書かれているので、大体は彼の主張に賛成なんですが、其れ以前に「なんで物理的に直ぐに検査出来ないような検査数を前提に話しをするのか」という点。
現在のPCR検査数は、一日あたり数万人の数まで拡大されているみたいなんですが、その前検査数量を東京都の検査に集中したとしても、全員の検査が終わるのは1年後。しかも、その検査の時点で「陰性」であったとしても、翌日には「陽性」になっているかもしれないわけで、一回検査して「陰性」「陽性」の判断は出来ない。最近では、いろいろな検査方法が開発されて、今後もしかしたら何十万人規模で検査可能になるかもしれないけれど、新型コロナウイルスの感染から発症までが、大体10日から2週間と言われているので、日本の人口1億2000万人を10日位で一通り検査出来る仕組みが必要になります。となると、一日あたり1000万人近い検査能力が必要になるんだけれど、それって物理的に無理でしょ? それに、今の新型コロナウイルスの性質を見ていると、闇雲に検査するのではなく、重篤化しそうな高齢者層を中心に、早く発見して早く適切な治療をして、致命的な状態を回避させることが重要なはず。そのあたり、忽那賢志先生の記事が参考になると思うけれど、記事の中で使用されている氷山の例えが現状を一番よく表していると思います。ここで言えるのは、少なくとも4月5月の検査数と今の検査数は数倍の違いがあるわけだから、単純にそれ位陽性者数が増えていても不思議は無いこと。さらには、検査対象の母数がことなるのだから、陽性者数は検査数にあわせて増えているのに、重傷者数や死亡者数は逆に減っていることを理解しないと、正しく状況を理解しているとは言えない。
今後のことも考えて、受入側の病院の体制を心配して、更なる設備の増加とか補強をメディアが伝えるのは良いと思うけれど、それを感染爆発の恐怖を理由に報道するような姿勢はどうなんだろうか。それに、テレビでは「ベッド数が」というければ、設備はなんとか施設を準備すれば作れるけれど、そこに携わる「人材」はそう簡単には集まらないはず。そう言う意味では、単に数字を元遊んでいるだけという印象を、メディアにも行政側にも感じるし。それに、感染経路不明者数も増えてはいるんですが、やはり「三密回避」を疎かにしたが故に感染拡大している例も半数近くあるわけで、先ずはこれを抑えることで状況も大きく変わるはずなんですよね。だから、今言うべき事は、「注意して行動すること」「慎重にして楽しむこと」「感染も怖いけれど、経済も回さないと別の恐怖が生まれること」じゃないだろうか。どうしたら、リスク回避できるのかと言う事を、もっと色々アイデアを出した伝えて啓蒙するべき人達が、パニック映画のように単に恐怖心を煽るだけというのが一番の罪だと思う。
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