2020年8月20日

休むのも仕事のうち

週初めの突然の検査入院から、一日夏休みを取得して、昨日午後から公務に復帰した安倍首相。ご本人は、「あくまで追加検査。健康に問題なし」と強調するけれど、額面通り受け取れないのが政治の世界だし、実際どの程度なのかは本人のみぞ知るところ。逆に言えば、仮に空元気であったとしても、本人が大丈夫と言っている以上は、それを信じて行くしか無い。ただ安倍総理の場合は、持病の潰瘍性大腸炎を隠して突然辞任した過去があるだけに、必要以上に疑心暗鬼になってしまうのは仕方ないかも。

一般企業であれば、万一の場合を想定しての「Contingency Plan (危機管理計画/緊急時対応計画)」や、事業継続を目的とした「BCP (Business Continuity Plan/事業継続計画)」を事前に準備して、それこそ大規模災害であったり、部門や責任者が何らかの理由で業務遂行できない時の代替案、さらにはそこからの復興計画など、幾つもの対応策を本当は準備しているもの。「本当は」というのは、多分東日本大震災とか、その前の阪神大震災の経験から、多くの企業がそう言うものを認識して準備していたはずなんですが、策定して1年とか2年位まではそう言う仕組みは維持されるものの、それが3年過ぎ4年過ぎて行くと、特に担当者や責任者が人事異動や退職・転職でいなくなったり交替すると、途端に「機能不全」に陥ったりするんですよね。「常に危機感を保って、万が一、万々が一に備える」というのは、言うは易しだけれど現実的にはかなり難しいもの。そんな大げさなもので無くても、例えば組織やチームの担当者が病欠なんかして何日か不在となると、途端にその担当者が扱っていた案件でトラブルが発生したり、処理が停滞したりするもんです。

アメリカの場合は、最高権力者の大統領に始まり、その次は副大統領、その次は下院議長と、継承者順位が細かく決まっていますが、日本でも同様の仕組みを取り入れたのは確か結構最近だったはず。しかも、アメリカのようにポジションで順位を決めるのでは無く、事前に人物を5名までしか指定出来ないので、本当に万が一の時には困る気がするんですが。あと、穿った見方をすれば、その5人がたまたま全員執行不能となったら、6番目は残りの閣僚から指名する仕組みになっているので、それを利用する事も可能になってしまうような。今回、検査入院前日に次席継承者である麻生財務大臣と会っていたことが伝えられていますが、それってもしかしたら万が一の時のことを考えて、引き継ぎ事項の根回しをしていたのかもしれない。でも、そこまで考えると、実は「検査入院」と言いつつも、結構重大な事も想定していたのかもしれない。まぁ、想像はどんどん膨らみますけれど、それだけ準備してから検査を受けたのであれば、それはそれでリスク管理としては正しい気がします。

今回の検査入院に関しては、火の無いところにも煙を立てる野党に煩わされたくないという気持ちから、休みも出来るだけ取らなかったのかなと想像するんですが、でもそれで本来の仕事に支障が出たら本末転倒。私が新入社員だった頃、当時のマネージャに言われて感心したのは、「休むのも仕事のうち」という一言。新入社員だから、頑張って仕事はして欲しいし、やる気や若さもあって多少の無理も利くだろうけど、だからと言ってずっと仕事だけ出来るわけじゃ無い。休むときにはしっかり休んで、次の仕事をちゃんとリフレッシュした状態でスタートして、それで良い結果を出す事の方が重要。だから「休むのも仕事のうち」だと言われて、それはその後どんなに仕事が厳しくなってきても、海外出張で昼夜が逆転して、殆ど24時間仕事漬けみたいな状態でも忘れないように気をつけていましたねぇ。勿論、それでもどうにもならなくて、徹夜したりずっと残業していたときもありましたが、まぁ、途中で潰れることも破綻することも無くここまで来られたのは、あの時の一言が大きいと思います。「休むのも仕事のうち」なんだから、休むことはサボりでは無いし、ちゃんと仕事をしていることになるわけですから。

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