昨日8月15日は「終戦の日」で、毎年戦没者追悼式や平和集会が開催される日。丁度旧暦のお盆にあたるので、終戦後暫くは両方の意味がかなり強かったのかもしれない。既に亡くなっていますが、同居していた父方の祖父は実際に南方方面へ派遣されていたのですが、余り当時の話しを子供の頃に聞いた記憶はありませんでしたね。それよりも、浜松市には今の自衛隊浜松基地が当時の陸軍航空隊基地でもあったので、艦砲射撃で焼け野原にされてて、その話しは親戚が集まると子どの頃はよく聞かされていて、小学校の副読本でも一面焼け野原になった浜松市街地の写真等も見せられて、そう言う形での「戦争教育」みたいな物を受けてきました。
それなりの年齢になり、仕事をするようになってから、広島・長崎の「原爆の日」や、この「終戦の日」に対しての考え方が少しずつ変わってきたのは、やはりネットの影響が強いのかなと言う気がしています。それまで有る程度まとまった情報を得る方法は、本からしか無かったわけですが、何冊も買いそろえるわけにも行かず、どうしても典型的な本しか読む機会は無く、だから多分投じてしては「凄く一般的な常識的な」意見が正しいと思い、自分もそう言う状況に疑問も感じなかったけれど、これこそパソコン通信のBBSから始まり、最近のSNSに至るまで、当初は様々情報へのポインターだけだったものが、そのうちにその内容やそれに対しての色々な意見もネットで自由に簡単に何時でも閲覧できるようになりました。その中には、真偽も不明な情報も多いわけだけれど、そう言うことを理解してちゃんと追いかけてみると、それまでの自分の理解とは真逆な意見が実は「正しいんじゃない?」とか、「えっ、こんなことがあったの」という発見も決して少なくない。例えば、広島・長崎では「過ちは繰り返しません」と言うけれど、原爆のような大量殺傷兵器を使うことが、当時であっても正しい行為なのかとか、パールハーバーの奇襲攻撃は、それまでの映画等では日本が一方的に開戦したように作られているけれど、そこに至る外交努力とか当時の欧米列強の状況とか、色々要素は存在していのではないか、とか。
勿論、戦争行為を肯定する気持ちは全くないのだけれど、そこに至る理由なり原因なり背景というものを、実はもっと早くから研究というか深く調べて、そこから得られた知見こそが、二度とああいう惨禍を起こさない「武器」になるんじゃ無いかという気がするんですよね。太平洋戦争突入の切っ掛けの一つは、中国での状況が大きく影響しているけれど、それは第一次世界大戦まで坂の張る話しだろうし、日独伊三国同盟も影響は大きいから、そうなると欧州の状況だって考慮しないと、本当の理由なり原因は分からない。AI将棋の先読みみたいな感じで、どの時点でのどんな要因がその後の重大な結果を招く要因になったのか、そう言うことを互いの利益や立場を超えて客観的に考えるという事がもっと必要だと思っています。そう言う意味では、今年は終戦から75年が立ち、当時の関係者は殆ど鬼籍に入られているわけで、作業としてはかなり難しくなっています。また、存命の方も記憶は曖昧かつ装飾されてくるわけだから、そう言う意味では戦後50年目とか出来るなら30年目くらいに、100%客観的な立場での考察とか出来れば、本当は良かったんでしょうね。只、その当時は勿論、今でも「日本のここはただし語った」という言い方は、なかなか難しくて、そう言う意味では「日本が悪かった」という結論ありきの話しか出来ないことは問題だと思う。責任を問う問わないではなく、純粋に学問というか研究という立場で、フラットな議論が出来ないものだろうか。
実は、家の母親の誕生日がこの8月15日で、勿論母親の生まれの方が終戦よりも先なんですが、我が家では母親の誕生日を祝いつつ、終戦記念の日の様々な式典の厳かな静粛な番組をみるという、ちょっとシュールな日でもあるんですよね。母親も、戦時中は小学生くらいの年齢で、空襲とか防空壕への非難とか、それなりに戦時体験があり、自分が子供の頃は「私がお前くらいの時には...」と、時々当時の体験を話してくれましたが、今にして思うとそんなに望んで話をしていたわけでは無いように感じます。まぁ、それが当時のそして「戦争」というものの全てなんだと思います。あれから75年が過ぎて、当時を経験している人も多くの方が既に亡くなっていて、今では戦争を「記憶で語る」時代から「記録で語る」時代になってきました。その解釈には、また人それぞれの感が方や思いも加わるとは思うけれど、だからこそ客観的に記録を掘り起こして、「何が原因だったのか」という事を、逆に今なら出来るような気もします。別に、それで異なる結論が出たから日本の名誉回復しようとか、既に過ぎた時間を戻すことが目的ではなくて、客観的な検証作業というものこそが、次に繋がるバトンになるはずなんですよね。
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