2020年7月28日

誤謬誘導の朝日新聞

朝日新聞が掲載した、政府調達の布マスク8000万枚を、介護施設や保育所などへ配布するという記事なんですが、いかにも朝日新聞らしい読者の誤謬を誘発するような見出しと記事内容(構成)。

まず見出しが「布マスク、今後さらに8千万枚を配布 不要論でも発注済」としています。8000万枚を配布する事も事実だし、不要論があったことも事実。でも、その後の本文を読めば分かるように、8000万枚の配布先は、今後も需要が大きいと思われる介護施設や保育所という施設であって、再度国民全員に配布するわけでは無い。

また、この配布の話が当初出たときには、「布マスクは感染予防できない」とか「お金の無駄」という意見も多く出たけれど、結果的に今では布マスクでも飛沫感染予防・防止に一定の効果があることは証明されているし、お金に関しても一時言われた500億は予算規模であって、実際はその半分程度であったし、このマスクが配布されたことで、それまで高騰していた不織布マスクの値段が下がり、病院等緊急に必要な所にも必要なマスクが行き渡るようになったことは、既に明らか。批判することはメディアの役割の一つとは言え、かなりバイアスの掛かった見出しだなと言うのが個人的感想。

で、肝心な朝日新聞本体の記事では途中から有料記事になり読めないのですが、Yahooニュースに転載された記事では全文が掲載されている。その有料記事部分では、布マスク8000万枚を配布する事に対して、通販の価格比較サイトの例として、使い捨てマスクの最低(?)価格が、ピーク時の57円/枚から現在は10円/枚まで下がっているというインタビューを掲載して、その布マスク配布の無駄なことを強調している、ように読めます。でも、これはおかしいでしょう。

まず、配布するのは布マスクなんだから、同じ布マスクと比較しないと意味が無いのでは。確かに不織布マスクは1枚10円かもしれないけれど、一日に何回も取り替える必要が有るこう言う場所では、一日100円分くらいのコストが掛かるわけですが、洗濯をして何度も利用出来る布マスクなら、しかも無料で配布されるなら、その経済的効果はかなり大きいはず。また、見出しを読むと、今回の為にわざわざ8000万枚を追加発注したようにも受け取れるけれど、これだって当初契約して発注した分を再配布するわけで、別に新規に追加したわけでは無い。政府として、足りないよりは余った方が良いという事で多めに数量を発注して、その為には全量引き取りが条件な訳ですから、それを実行して有効利用しようとしているだけの話。朝日新聞は「不要論も」と無駄という事を言いたいようだけれど、それならそれでこれらのマスクを廃棄処分をしたら「税金の無駄遣いむと批判するわけで、結局は何をやっても言いがかりを付けたいだけなんでしょうね。

その計画なり取得プロセスなり、何か問題有ると感じるのなら、それを追求するのはメディアの役割の一つだと思うし、別にどこの新聞社でもやれば良いと思う。記事の中では、確かに事実の断片をつなぎ合わせて構成しているのだけれど、例えば困惑する東海地方の保育園園長のコメントは掲載しても、好意的なコメントは掲載しない。調達の経緯を伝えるのは良いのだけれど、枚数の多さとか経費の金額だとか、それらを強調するだけで、ではその中に何か疑念を招くようなことがあったのかは明確にしない。さらには、最後のように異なる種類のマスクを比較して、しかも一方のコストだけ「1枚10円」と書いているけれど、布マスクだって総額507億円を2億8700万枚で割れば、1枚あたり177円となるから、20回程度選択して再使用すれば不織布マスクよりも「安く」なるわけで、実はコスト的にはそんなに違わない。そういう感じな所を言わずに、単に安い・高いみたいな「イメージを誘発させる記事構成」にしているところに、やっぱりこの人達は事実を伝えるのでは無く、自分達が思う「真実」という勝手な考え押しつけたいだけなんだなと再認識する記事ですね。

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