2020年7月27日

不都合な比較

TL上でちょっと話題になっていた、東京新聞の「核廃絶費用をコロナ対策費に」という記事。タイトルだけ見ると、何か凄く良いことのように聞こえるんですが、記事本文を見るとその書き方というか記事の展開の仕方が凄く恣意的に感じる。

  1. 最初に、米英仏の核軍事費を新型コロナ対策の医療費に振り替えると、という話しをしていて、まぁそれは核軍縮を言う団体(ICAN)が言うのだからそれなりに理由はあるのだろうと思うんですが、それと並べて日本の場合として新規調達分(1兆1千億円)を並べて比較しているのは矛盾しているのでは。それなら米英仏に関しても、核軍縮費だけでなく新規調達費用も含めるなり、あるいは日本と比較したいなら、新規分で比較するべきでは。それに、「新機長達分」ということは、古い装備を廃棄して置き換える意味もあるので、それを止めた場合耐用年数を過ぎた装備をどうするのか、古いまま使い続けていざというときに機能しない、危険度が増す、と言う想定は無いのだろうか。
  2. 新型コロナウイルス対策の医療費として、ベッド、人工呼吸器、看護師、医師、の4要素を上げて、それぞれリソースを振り分けているけれど、ここで疑問なのが「物理的なリソースは、まぁ頑張って増産するという方法はあるけれど、それでも準備出来る数量には限界がある。ましてや人的リソースなんて、そう簡単に増やすことはできないだろう」という事。一度にそれ誰のリソースが入手出来るならまだしも、何年も掛けて準備しないといけない話なのに、恰も単純に物々交換のように置換できるように見せているのは、欺瞞なのでは。看護師なり医師なりを増やすには、その分医学部看護学部だって定員を増やさないといけないかもしれないし、そういう部分も含めて考察するなら意味あると思うけれど、単に上澄みだけ引っ張ってきて「可能だ」と言われても、それは机上の空論としか言えない。
  3. 日本の場合は、1兆1千億円を振り替えればという想定ですが、わざわざ振り替えしなくても、予備費が10兆円、使用目的を限定しない分だけでも5兆円有るのだから、何故それを直ぐさま利用せずに、わざわざ実際には振り替えできない(使用目的が防衛費として決まっている)ものを例として出すのだろうか。結局は、これだけ防衛費を削れば新型コロナウイルス対策が進むのに、それをやらないのは政府の問題、みたいな事を言いたいだけじゃ無いのか。それなら、予算で一番多い医療費の配分を変えて新型コロナウイルスに回す(その分、既存の医療補助が減る)とか、社会保障からという話しだって可能になってしまう。
  4. で、最後に韓国は削減して対策費に回したと言っているけれど、それはその国の考え方だし、日本の場合は10兆円の予備費があるのだから、指摘すべきはその10兆円の使用状況が今どうなっていて、幾らの余裕があって、そこから今後どう言う方面・場面に適用していくか、ではないのか。あれだけ10兆円の予備費が過大すぎると以前は騒いでいたのに、今は何も言わない。本来なら、「10兆円予備費使用監視タスクターム」とか野党あたりが作って、その様子をこれでもかとメディアが取り上げるんじゃ無いのか? 今、予備費の話しなんて、これっぽっちも出てこないのに、なんでわざわざ出来もしない予算の付け替えの話をしているのか。しかも、防衛費を狙い撃ちにしているのか。凄く恣意的に感じる。
結局、「だって、東京新聞だから」で終わってしまう話ではあるけれど、本当に必要な部分なんで、どう言う優先順位で事に有る必要が有るのか、そう言う背景が説明されているなら良いけれど、何かこれって最初から目的が透けて見えている気がする。やはりメディアでは無く、単なる宣伝機関だよな、この人達は。

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