2020年7月7日

中国化の可視化

「一国二制度」が崩壊し、「中国化」が進む香港。香港のトップである行政長官を「指導・監督」する、中国政府の顧問が派遣されるという記事。昔の軍事小説で、よくソ連軍に派遣される「政治将校」が登場したけれど、それに相当するような立場みたい。しかし、中国の対応は素早いですよね。「香港国家安全維持法」を成立させると、間髪入れずにその拘束力を実行するために組織固めを直ぐに実行するというのは。

こう素早く対応出来るというのは、多分中国国内でも同様以上の事をやっていて、そんな日本国特有とか今回が初めてという話では無いのでしょうね。言ってみれば、中国国内手続きを、これまで例外的だった香港にそのまま横滑りで適用し始めただけなのかも。中国としては、「一国二制度」を飲んで、50年間の自治を保証して英国から香港を取り返したけれど、やはりのど元の骨だったんだろうか。結局は50年の半分も立たない23年での「一国二制度」が事実上崩壊することになったわけですから。英国は、香港市民に英国のパスポートを配給するという話をしているけれど、どれだけの人が脱出出来るんだろうか。

唯一今回僅かに残っているのは、香港には欧米メディアが大勢駐在していて、彼らによる報道はまだ暫くはこれまでのように配信されるだろうという事。当然中国としても圧力を掛けてくるだろうけど、中国国内で制限されることと、これまで欧米並みに自由度があった香港内での活動とは、ベースが違いますからね。まぁ、中国としては、暫くは穏便に成治を進めて、徐々に欧米メディアを外に出すか、あるいは人員を中国の息の掛かった人間に入れ替えていき、気がついたら実は新中国の局員しか香港には残っていないような自体になるかも。返還後23年ということは、今の若者世代は殆ど以前の「自由な社会」を知らない世代になっているわけで、改革の原動力となる若い力が以前の社会に戻す動機に乏しいのは、もしかしたらここまで待ってきた中国の策略なのかも。

翻刻よりも先に、民族浄化とでも言うべき弾圧を受けているウイグルの問題を、某局の男性アナウンサーが「メディアが扱いにくい問題。中国当局のチェックも入るので、報道機関でウイグル自治区のニュースを扱うのはタブーだった。共産党の内部告発が出て、New York Timesが報じたので自分達も報じやすい素地が出来た。」お昼の番組で言ったらしいけれど、これってメディアの敗北宣言というか、いかに自分達がこれまで強い力に忖度というか屈服してきたかという証明では。良く安倍政権が、と言うけれどとんでもない話。これ、別の意味で国内報道であっても「忖度」してきた可能性も臭わせているんですよね。この発言を評価する意見もTL上ではあるみたいだけれど、とんでもない偏向報道を白状したと言えるのでは。香港問題ではどう言う態度を取るのか、ウイグル問題では今後どうするのか、正直メディアには大して期待しないけれど、せめて少しは矜持らしきものを見せて欲しい。

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