2020年6月8日

複雑な人種差別問題

今アメリカを中心に問題となっている、黒人(アフリカ系アメリカ人)が白人警官にの取調中に無くなった事件。アメリカ国内だけで無く、世界的に大きな動きになっているけれど、それが広がりを見せていくとともに、どうも内容というか話題も変化してきていて、どんどん拡散していくことに逆に不安を感じるくらい。私は、留学とか長期滞在こそ経験は無いものの、それでも仕事やプライベートで何度もアメリカを訪問して滞在していて、社会人として仕事をし始めてからの30年余りのうち、トータルで1割くらいの3年一寸はアメリカでの生活経験があるから、一般的な日本人から見たらそれなりに向こうの経験値がある方だと思っています。また、仕事での滞在が2/3位あるので、向こうのエンジニアやマネージャは勿論、仕事以外の付き合いもそれなりにあるから、何となく向こうでの生活を肌感覚という、何となく感じる機会や経験は何度もありました。

そんな中でも、やはりアメリカでの「黒人差別」とか「人種差別」という話をするのは、難しい。難しいというか、とても何か意見を言えるような知識も経験も背景も不足しているというのが本当のところ。私は、幸いにもそう言う経験は今のところ無いし、仕事での同僚達は、それこそ黒人、白人は勿論、中国系に韓国系、ヨーロッパ系にロシア系、さらにはインドにと、色々な人達と会う経験に恵まれていて、そう言う意味ではアメリカ人中心ではあったけれど、それなりに多国籍同士の中で生活していたから、そんなに「差別」的な物は感じなかったかも。唯一「差別」では無かったけれど、会社のカフェテリアに日系人なのか日本移民なのか、英語がネイティブのお婆さんが働いていて、アメリカ人とかだと愛想が良いのだけれど、我々日本人にはつっけんどんな人が居たのが一番印象的かなぁ。日本だと、白人vs黒人の構図ばかり伝えられけれど、アジア人vsアメリカ人、みたいな構図もあるし、それは多分地域や歴史によって千差万別だと思いますね。

さらに言えば、「黒人」と言うけれど、そう言う人種がいるわけではなく、古くはアメリカ独立以前からアフリカから連れてこられた世代から、最近ではアフリカも含めて、南米カリブ当たりからの流入とか、色々な世代が「黒人」としてアメリカ国内には生活をしている。だから、見た目的には黒い肌の人だからと言っても、実は考え方が古くからの家族と、最近の家族では違っていたりするし、生活レベルなんかもかなり違う場合も有り、だから考え方なんかも違うのは普通だったりする。その当たり、日本は凄く単純化して伝える傾向があると思うけれど、それは何となく日本人の「黒か白か」「悪か正義か」みたいな、判断基準が影響している気がしますね。とは言っても、表向きは総黒白はっきり付けたがるけれど、実は内面的には「曖昧、あうん」で波風立てないというのが日本人の考え方というか、ある意味秩序維持のアイデアだったりすると思うんですが。だから、一人一人が色々な意見を感じたり発言することは良いことだと思うけれど、只簡単に「善悪」を言えるほど単純な話では無いことは理解して覚悟しないといけないとおもう。

今回の事件に関しては、大元の黒人男性が亡くなった件に関しては、白人警察官の差別的な意識とかそう言うものの理由が大きいと思うし、それに対して日頃からの鬱憤が、新型コロナウイルスの自粛もあって爆発したことも理解は出来るけれど、それが暴動とか略奪にまで広がってしまうのが、アメリカ社会の脆弱性だと思うし、実はそれほど深く考えていない野次馬的な煽動者に載せられている部分も大きいと思う。今年が、4年に一回の大統領選挙の年だという事も、結構影響して居ると思うし。大統領選挙の時に仕事で向こうに滞在していたことが何度かありますが、正直民主党・共和党、それぞれの政党支持者が、この時期だけは何か互いに親の敵みたいな雰囲気になるんですよね。流行している「#BlackLivesMatter」は、実は4年前の大統領選挙の時にもトレンドになったらしいけれど、単に人種差別、黒人蔑視という単純な切り口だけでは語れない色々複雑な要素が絡み合っているわけで、そういう部分を余りに無視してなのか知らないからなのか単純化して伝える日本の報道はかなり軽率な気がしますね。複雑で難しい問題だからなかなか何か一つ答えが出るという話では無いけれど、ただ一つ言えるのは、理由はどうあれ「ルールを破ったら負け」という事。抗議の声を上げるのも良いし、デモをするのも良いけれど、それが暴動や略奪になったら駄目。自分達の主張をするのは良いけれど、その中に嘘やデマが含まれてしまったら、それも駄目。相手を批判したくなり、相手を任したいと思う気持ちも分かるけれど、そうやって敵を破ることよりは、自分達の主張を静かに説明して仲間を増やす方が将来的には有利になるんじゃ無いだろうか。そう言う意味で、アメリカ国内の話は別にして、日本でのその種の行動は、ちょっといろいろな意味で「?」と感じることが多いなと感じますね。

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